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[己の返事に返ったのは苦笑だったろうか。
兄の幼馴染みの男。
その態度と、何よりその腕に抱えられた絵、それに気を取られていたからだろうか。
何の疑問も持たずに、中に招入れた]
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がむばろー唯一の無能力者。
…動きどうすればいいかわかんねー。あまりにも普通の事件に巻き込まれた人っぽくしすぎたーー(ぇ
[アーベルの視線に気づき、右手に視線を落とす。
黒の部分の侵食は昨日よりも進んでいて。]
……ん。大丈夫。ほれ。
[そう言って、にかっと笑うとブンブンと腕を振り回す。]
[……実の所。彼の状況は決して楽観できるものではない。
本来であれば、絵筆のチカラを封じる際、術者はその命を引き替えにしなければいけない。
呪いとはそういうものなのだ。
それゆえ、彼がチカラの一部しか取り込めなかったのは、ある意味で彼の命を助けていたのだ。
しかし、それでもその呪いは徐々にではあるが確実に彼を蝕む。
そして……いずれは…………]
[黒の変色のある腕を動きにあわせるように目で追う。
ブリジットも怪我ではないとはいっていたが]
だったらいんだけどな。悪いが俺はそういうのさっぱりわからんしな
[とりあえずはそういって済ます]
で、なんだが…そっから何かわかること、ないのか?
[それから、幾つか話をしただろうか。
己の体調を気遣う言葉や、もしかすれば昔の話もあったかも知れない]
絵筆?
…ええ、これがそうですけど。
[ふと何気なく問われ、少し怪訝な顔をしたが。
キャンバスの前のそれを示した]
[そして、ほんの少し目を離した時に。
絵筆は男の懐に隠された。
消えたそれに気がついたのは、男が絵を残してアトリエを去り、暫くしてからのこと]
奏者 ミハエルが「時間を進める」を選択しました。
[腕の動きを目で追うアーベルに、くすりと笑う。]
ん。アーベルが気にすることねぇよ。
[そして、アーベルの問いかけに、んーと顎に指を当てて少し考えるが]
……あくまで俺にはチカラのカタチが『見え』て『封じ』られるだけで、その封じの絵を誰が描いたかとか、何処から描いたかとかはわかんねぇんだわ。
役に立たんでわりーな。
―図書館の前―
[オトフリートのことを待ちながら
歌っていると、気分が良くなったか
どんどん声は高くなる。]
♪ネッスン ドローレ、
ヴォラレ ヴェルソ イルシェーロ、
ペル アンダレ リベロ
[怪訝な顔をして
前を通る人が、見ていく。]
ふーん。そんなもんなんか。
[いうからにはそうなのだろう。その仕組みなどは知らないまでもユリアンが嘘をつく理由はなく]
いや、役に立たないなんてこたーねえが…まずいな。
[そうして、オトフリートが現れる。
笑顔で手を振ると、その手に布で包まれたものをそっと、
渡された。]
これ…?
[彼は、微笑んで頭を撫でてくれたかもしれない。
彼女もにっこりと満面の笑みを浮かべ、]
ありがとう!
[お礼を言った。
少女はそれをぎゅっと胸元に抱きしめて、
自宅への道を駆け出した。
そして彼は、図書館へと入っただろうか?
背中に、蜜蝋を噛む音が聞こえた気がした。]
[少し考える。心を封じる絵。というのは絵の描くものの趣味趣向で構わないのだろうか。それとも一定の描きかたでもあるのだろうか。エーリッヒは穏やかな顔をしていたが]
ここで考えてても仕方ないな…で、動けるか?動けないんなら寝てろよ。ああ、それとリディはそこな。
新しい話は…特にでてきてないはず…診療所にずっといたからわからんけど
[早口でそんな説明をユリアンにして、立ち上がったところでふと、止まり]
…なぁ?もしもの話だが、ユリアンが絵筆を持っていってたやつだったとして、だったらどこかに隠すか?それとも離さずに持ってるか?
ん。まずいって?
[アーベルの言葉に首を傾げる。続いた言葉には]
んあ。……ん。大丈夫、動ける。
それに寝てるわけにはいかないしな。
リディは……ん。大丈夫そうか。
ってか、はえぇ。寝起きにそんな一気にまくし立てるように言うなよ。
[苦笑いを浮かべる。しかし、続く言葉にスッと目を細め]
ああ、もしもの話だけどな。
もし俺が筆を持っていたら、絶対に誰にも探されねぇ場所に隠す。
自分で持っていたら、探られればすぐに露呈しちまうしな。
なら、目が届かないところでも普通探されねぇ場所に置いとく。
……その方が、逃げて追われてても、時間の勝負だが少なくとも絵を描く時間が確保できる可能性があるし、な。
[忌憚のない自分の考え。]
―自宅―
[軽い足取りで家へと入ると
大きなキャンパスを広げその脇に、
受け取ったばかりの布に包まれた絵筆を、置く。]
あ、そうだ、言われてた事をやらないと。
やる事があるってすてき、素敵ね。
[言いながら、鼻歌を歌いながら。
鳥と魚の彫り物のある絵筆を鞄から取り出し、
絵を描いていく。
単眼鏡の部分には、水晶花の花びらをはりつけて
空の青には、綿毛の雲。
描いていて、ふと昨日の事を思い出して
一瞬ぴくりとしたけれど、
どうやら何もないようで、ほうと息を吐き。
司書の絵を、描き終えた。]
[がたん。
椅子の倒れる音]
…嘘、だ。
まさか。
[見開かれた瞳は揺れる。
そんな筈はないと、信じていたから、周囲を必死に探して。
本当にない――盗まれたのだと理解した時には、大分時間が経っていただろうか]
ああ、率直に言ってまずい。
ギュンターのおっちゃんやベアトリーチェが…二人は年取ってたり、幼いしな。
[直接的な意味は口にはせず手短にいって]
だからはえーのも許せ。
俺はお前のような血族でもなければまして絵師でもなんでもないから焦っちまうんだよ。なにすりゃいいのかとかな
[そしてユリアンの考えをゆっくりと咀嚼するように聞いて]
そっか…それなら。ってこともないが、リディが犯人の一人だった。だったらもう一人もある程度知ってるやつかね?とも思う…絵を描いたのは多分リディだろうし、渡すにしろ隠すにしろ。連絡取れないと無理だろうしな
[それだと俺ら怪しいけど。なんて内心苦笑して]
そっから絞って探せばなんとかなっかねーっと…いつのまにかミハエルも絵師になってっし
[物理的な頭数はそこから、など、それでいいのかどうかわからないが出来ることと考えた上でそう思ったのだが]
ユリアンは何か考え…あるか?
─アトリエ─
[違和感を感じつつ、幼馴染の訪問を見守っていた。
交わされるのは、平時のよなやり取りで]
……思い過ごし……か?
[呟きには、そうであって欲しい、という気持ちも幾ばくかあったかも知れないが。
そんな思いがあったからか、瞬間の動きは見過ごした──もっとも、見えていたからと言って、止められる訳でもないのだが]
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