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[2人が図書館に向かう道を、司書を診療所に運ぶ一団が通り過ぎるかも知れない。
探されているとは知らず、聞いた方向へひた走る]
…く、
[時折つまづいたりしながら、歯を食いしばる。
己の体力のなさを呪いながら、それでも止まろうとはしなかった]
[図書館を飛び出し、駆け出して行く弟の姿。
逡巡している暇は、なかった。
今は、なんら干渉はできない身ではあるけれど、しかし、追わずにはいられずに]
……まったく、だから少しは身体を動かせって……!
[辛そうに走る様子に、思わずこんな言葉が口をつく。
緑の瞳に浮かぶのは、弟を案ずる光のみ**]
/*
さすがに、限界、ですよ、と。
思わぬアクシデントだったが、大丈夫そうで何より。
つうか、テンション高いなみんな、大丈夫か。
そして、話はどこに着地しますやら。
[図書館へ向かったところで、誰かを運んでいるのが見えて]
ん?今度は何…ってっ。オトフリート先生?
[運ぶ一団を押しのけて近くで見れば間違いなく。更にそれは最近よくみた症状であって]
まじかよ……ちっ!…でこれどこで?…図書館でミハエルが…か。
そんでミハエルは!?
[一団の一人に詰め寄って聞けば]
エルザ…?おいっ!?エルザがなんなんだよ!言え
[胸倉を掴んで揺すれば、歌っていた。とか。オトフリートと喋っていた。ミハエルが家の場所を聞いて向かった。と言われそれ以上は知らないらしく。一団の他のものに止められる。]
………いくぞ。ユリアン
[一団を見送る暇もなく低く呟く。
何があったかまでは詳しくは知らない…内心どこかで、知りたくないということなのかもしれないが]
エルザの家は知ってる。
[ついて来いというように*駆け出した*]
―綿毛畑―
[立ち入り禁止の紐を跨いで入り、ぺたり座り込んで鞄を開ける。
座り込めば、荒らされたとは言え、まだ大分綿毛の残る畑にに
頭のてっぺんまで、隠れてしまう。
中にモノが入っているのを見て安心すると、ふと、鞄の底に黒い石が連ねられたペンダントを見つける。]
……――
[無言で引き摺りだして、首にかけようとするが
やはり、首の後ろで留め具を着ける事が出来ず、
結局手の中に握りこんだ。]
…何時かしら。いつかしら。
ふふふ、ねぇ…――?
[きゅ、と握った手を鞄の上に置き
綿毛畑の中、小さく歌声が、響いた**]
[そうして図書館へと向かっていた途上。
こちらへと走ってくる一団に足を止める。
だがその一団に運ばれていたのは、探し人の片割れ。]
な!? ……どういうこと、だよ。
[理解が追いつかない。
オトフリートが犯人で、それをミハエルが? いや、ならここにミハエルがいない理由が。
いやむしろ前提が違う? オトフリートは犯人じゃない?
思考は混乱し、]
…………え? エル、ザ……が??
[だからこそ次の言葉でそれが完全にフリーズした。]
[ただただ、出てきた名に呆けていたが、アーベルから掛けられた言葉にハッと我に返り、]
あ、ああ。わかった。
[そう言ってアーベルに続いて駆け出す。
内心は、その結論が間違っていて欲しいと言う願望。
しかし、彼の中の理論の部分はその結論を肯定し、そして残酷にもそれこそが*真実なのであった*。]
[目的の家の前。
よろめき、扉にぶつかるようにして止まった]
…ッは、
[肩で息をしながら、強く扉を叩けど返事はない。
ここにはいないのか、そう思いながら手を掛けて]
開いて、る?
[すんなりと扉は開いた]
…え、と。
[踏み込むのを少し躊躇ってしまうのは、他人の家だから仕方のないこと。
けれど今はそう言っている場合でもなく。
首を振り]
エルザさん?
[呼び掛けながら、中へ踏み入った]
[やがて一通り見回った後で、中庭に通じる扉を見つけ]
…っ
これ、は。
[そこにあったのは、咲き乱れる桃色の花と。
己にとっては異質な存在の『絵』]
[どうして封じられたオトフリートが、彼女に絵筆を渡したのか。
そんな疑問はあったけれど。
同時に浮かぶのは、古くからの伝承]
「心の力を集めれば、空へ」…
[低く呟いて。
く、と下唇を噛み、踵を返す。
中庭の扉も玄関も開け放したまま、外へ走る。
思い当たる場所など、もう一つしかなかった**]
[海は、牙を研いでいる。
すこしはなれた場所で、波がわかたれる音がした。
黒く未だ染まっている目が、緩慢にそちらを見るけれど、
海の色が邪魔をして、ふかい位置はわからない。]
ちがう。
[怖くて、見れないのだ。]
[ぞわりと
得たいのしれないものを覚えて、
少女はあわてて海からあがる。
此処はどこなのだろうと、そのあとで気が付いた。
海の水は、くるしくなかったけれど。
はだしの足が、岩場に乗って、波の音をきかないように、
大きな岩の後ろ側に着地する。
ぎゅうと身を縮こまらせて、耳をふさいだ。
水のあしあとは、*消えない*]
[少し、冷たいと感じる感触が髪を揺らす。
広げた両手、体重を感じる事の無いからだはゆっくりと、
下降する。
そうして地面へと近づいてから手で周りを優しく、
叩くように掻けば体は上へと向き、
頬に感じるのは、きっと、風。
青の中、蒼は溶ける事無く、ゆったりと。
とても自由に、浮き、沈む。]
[岩の隙間から太陽の光が、天使の梯子をかける。
畑の真ん中、柔らかい土に抱かれ白い綿毛の下、少女は眠る。
その手にはしっかりと、黒い石を連ねたペンダントを握り
だいじなものを入れた鞄を両の腕でしっかり抱えて
何時もと同じ、碧い夢を見て。]
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