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何もって。
何もする気ないヤツの行動か、あれが。
[短い言葉に返したのは、呆れを帯びた声]
自分から、封じを求めるような行動とるとか。
お前が、そこまで俺を早死にさせたいとは思わんかったぞ。
[地面にぺたりと座ったままアーベルを見上げ、
きょとり、ぱちぱちと目を瞬いて]
だってあたしは鳥だもの。
だから、空へ帰るの。戻るの。
[言って、
――わらった。]
やはり、絵筆を使うと寿命が縮むのか?
[眉を顰め、問い返す。それは絵師達の記録から察していたことではあったけれど]
しかし、ミハエルは平気だったようだが・・・
[駆け出すエルザ。それを追い、捕まえるアーベル。その場に膝をつくミハエル。
その間、彼はガンガンと痛む頭を抑え、ジッとエルザを見ていた。]
エ、ルザ……。どういうことだそれは。
察しは、ついてたんだろ?
[問い返しに掠めるのは、薄い笑み]
あれは、ある種の呪い。
自身の生命と魂を削って、呪を行う……そういうものだ。
……だから、『絵師』は長生きできん。
[最後の部分は、ため息とともに]
俺はまだ、生きてはいるからな。
だから今、『絵筆』が使われれば、その負荷は俺に還るって訳だ。
鳥?んなわけあるか。エルザはエルザだ…鳥じゃない
[笑う。エルザを見ながらもきっぱりといって]
だから、もうやめろ。
絵師が心を封じて空に向かうのに、絵師じゃないエルザが描いて…いけるはずないだろ
なるほど・・・まだ当代の絵師はお前、というわけか。
[ためいきをつく]
封じられてまで絵師の業を背負うか、やっぱり馬鹿だな、お前は。
[ユリアンの声が聞こえ、それは叫びではなかったから
頭をめぐらせて、そちらをむく。
そしてやはり、にこりと笑みを浮かべたまま]
どういうこと?
って、どういうこと?
[まるで異国語を聞いたかのように、
不思議そうにぽかんと口を開いて、聞き返した。
それから、否定をしたアーベルの方も、同じ表情で見返す。]
何を言っているの?あたしは、鳥なのに。
それに、絵筆が2本揃っていて、彼を描けば行けるって。
教えてもらったもの。
できれば、俺が当代の内に『終わり』にしたかったがな。
……無理かも知れん。
[はあ、とため息を一つついて]
お前には、言われたくないぞ、馬鹿とか。
馬鹿は馬鹿だろう。俺が違うとは言っていない。
[堂々と屁理屈を口にして]
「終わり」か・・・満月夜に綿毛草は人を空へと運ぶ・・・もしも、その伝説が叶ったとして・・・その後がどうなるか、お前は考えた事があるか?
鳥は絵も描かないし、綿毛も集めない……と思う
[実際に見たこともない知識だけのものだから自信はないが]
…だったら…だったらなんでいってないんだよ
今居るのは空か?違うだろ。俺を次に描くか?…描いたっていけやしねぇ。これから何人何十人描いたってな!
[伝承の通りにすればいけるのか。いけるとしてもそれはいつかは知らないけど、少なくとも絵師が描くことに意味があるのだと思って]
だから…返せ。な?
ようするに、お前『も』馬鹿なんだろうが。
[無茶苦茶言った]
伝説の、先……?
お前、それを俺に聞くのか?
先に行く事のできない『絵師』に。
[声はどこか、呆れたような、困ったような響きを帯びて]
そりゃ、海水通路の向こうの事を考えれば、いい事ばかりあるとは限らない……とは、思うけれど。
[アーベルの少し大きくなった声に肩を竦め
ぎゅ、と鞄を胸に抱いて、ふるふると頭を横に振る。]
…いや。
だって、絵師さまが描くのとは違うのだもの。
だからきっと行けるもの。
空で、パパとママも待ってるもの。
[ぐ、と眉を中央に寄せて
アーベルを睨むように見る姿は、拗ねた子供。]
じゃま、しないで。
奏者 ミハエルは、白練の歌子 エルザ を投票先に選びました。
俺だってなぁ。大概のことなら邪魔したくねえんだよ
親父にも母さんにも怒られるし
[拗ねた子供のように見えるエルザに、苦笑のような嘆息。]
待ってねえよ。封じた心を一箇所に集めて、空にみなで行く
だから独りで言ったって、一人ぼっちだぞ。きっと
[先に行く事は出来ない、という言葉に、目を伏せる]
外に出ても、先には行けないかもしれない。俺はそう疑う事を止められない。
だから、何もしないことにしたんだ。
[オトフリートにも言われた言葉に、ゆる、と目尻が少し緩んだ。
手の甲でぐしと一度目を擦り、
それでも鞄を抱いた腕に力を入れる。]
いい、の!
もう決めたの!
[ゆっくりと腰を上げようと足に力を入れて
横目で周りを見る。――考えている事なんてバレバレだが。]
[目を伏せる様子に、僅かに眉を寄せて]
先に行けないかもしれない……外に出ても、何もない……って?
[否定しきれないのは、海水通路の奥の記憶のせいか。
あの通路の先にあるのは、沈んだ大地と記憶は告げる]
先が信じられないから、先を求めない……って訳か?
そのために、封じられるのを望んだ……とか?
[強い眩暈。
ただでさえ遠のきそうな意識で、話の内容が理解できるはずもない。
暫く座ったまま、回復を待った。
地面に手をつき、よろけながらも立ち上がって]
そう望んでいるとは、自分でも思わなかったがな。
[澱のように奥底に溜まる絶望を、毒としてまき散らす前に]
まあ、いまさらだ。
っ!!
[ガンガンと頭の痛みは増す一方。
だが、それでもエルザの言葉は耳に入る。]
っざけんな!! ひとりで外へ出て!!
それからどうすんだよ!!
そんなの…………寂しいじゃねぇかよ!!
[心の限り叫ぶ。その目には涙。]
こんっの…!馬鹿娘が!!!
[決めたというエルザ。
もし、エルザが空にいけたとしても、絵筆が戻れば戻せるのだろうか。それさえもわからないが、それを考える冷静さも消えた]
今まで積み上げられてきた想いを無駄にするのか。エルザの父さんや母さんの想いだってあんだぞ。勝手な行動で死に掛けてるのもいる。だってのにいいわけあるか!!
[エルザに向けたことのないような怒声を発し。肩を掴もうと手を伸ばす]
確かに、今更だが……。
[はあ、とため息一つ]
まったく……それに巻き込まれたこっちは、いい迷惑だっての。
[彼が絵師でなかったなら、もっと早くにそうしたのかもしれない。或は自身の手で絵筆を奪って伝説を終わらせたか・・・・けれど、それは口にしても仕方のないこと]
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