32 緋キ花咲ク泉ノ畔デ
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お尋ね者 クインジーは、冒険家 ナサニエル を投票先に選びました。
【墓】 踊り子 キャロル
[城へと向かった女が足を留めたのは、泉の畔]
[女自身の躱が、そこには有った]
[緋く、赤け、朱く、赫く、]
[なお、あかく]
[最期まであかを映そうとした碧の色は閉ざされて]
[白皙の肌は、あかより変じた黒に染まっていた]
まるで、暗示の様。
【墓】 踊り子 キャロル
[太陽と月の光に似た背の豊かな金色と]
[緋の色を映し続けた水を湛える碧と]
[混じらぬ一色を纏う花のあかと]
[そうして、しろはあかから、くろへ]
[ひによって、もうすぐおわりが]
[言の葉遊びをして、女はくれないを歪めた]
【墓】 踊り子 キャロル
私には悲しい思い出だと言い切れはしないのだけれど。
この花を齎した人は、どうだったのでしょうか。
或いは――か、――か。
[緋の花に纏わる言の葉を２、３呟き、横に首を振る]
[また、背の豊かな金色が揺れた]
いいえ、意味など無いのやもしれません。
【墓】 踊り子 キャロル
そう。終焉のその後にも、傍らにあかが有って嬉しい。
その私の気持ちで、全て。
それが意味。
[ひそやかに、女は微笑み]
[泣いた]
【墓】 見習いメイド ネリー
きれいなあか。
まんじゅしゃか。
[今は緋花の中で城を]
終焉の使者。
使者の終焉。
最期に訪れるものは、何？
[ただ*見つめている*]
流れ者 ギルバート
―2階―
……何にせよ、「赤い海」とやらは御免だ。
仮にそいつで死んだら、神の国に行けないことは確実な気がしてね。
悪いけれど、俺は「君たちが望むもの」で包まれた世界を、拒否させてもらう。
さあ――……
［構えていたナイフの鞘を抜き、その切先を「獣」に向けようとした瞬間――…］
流れ者 ギルバート
ネズミっ！！！
やめろっ！飛び出して来るんじゃない！
お前が近づいたら、告発したお前の命が………っ！
［床に下ろされた赤毛の獣は、銀色に閃くナイフの輝きに何を見たか――ギルバートが叫んだ次の瞬間、ケネスのナイフがラッセルの身体に深く刺さり――］
……ちっ！！
［彼の周囲は、獣の血に染まった。］
流れ者 ギルバート
［赤毛の獣は、ゆっくりと崩れ落ちる。
彼の側には、虚空に浮かぶ闇のような色をたたえた、彼の同族――「獣」の男の姿があった。］
……お兄さん。
ネズミに手を出すことなかれ、だよ。
君の行ったことを考えれば、君の同族が殺されることもまた道理。獣と人間――永遠に交わることの無い平行線で、またひとつの殺戮が行われただけだ。
［ナイフの先を、ナサニエルの方に向けた。］
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