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[アーベルの言葉にくすりと笑い]
それとこれとは別の『お仕事』ですから
[こちらも軽い調子で返し]
ええ、ですがこちらの答えも分かってますよね
答えは、断じて『ノー』です
[ピッと指を振る。同時、バクンと音をたてケース開封
中から出てきたのは彼女より背丈のある人形2体]
[取り上げられず隠したままの『端末』から、声が聞こえて来ることはない。
けれど水盤を覗き込むこともない]
アーニャか。
…『彼女』は、大人しく捕まったりはしないだろうね。
[香水売りの言葉から、同業者の存在を察して独り言ちる]
…うん?
話さないのか。
[話しかけて止めたのに、小さく瞬いた]
―街外れ―
やるなら力ずくでやってみろということか。
[黙ったまま聞いていたが]
[等身大(より大きいか)の人形が出てくるのを見て]
[エルザより一歩だけ前に出た]
あんなのいたっけ!
[彼女の人形劇を見た事はあるが、少なくとも2年以上前の話で完全には覚えてない。大きな人形にそう反応してから、ライヒアルトの方へ振り返る。]
えっへー、フェイント?
なんかね、ちょっと恥ずかしかったから。
それに言ったらベッティがきっと怒るの!
怒られるのやだもーん
[エルザの言葉にはにっこりと笑顔を浮かべ]
こちらはあくまで副業ですよ
『人形』を創るのはいろいろ入り用ですので
[特に魔術で動く人形は普通の人形とは色々違う
物質非物質問わず実に色々と入り用なのだ]
自信満々な奴が皆完璧な人間とは限らんぞ。
中には根拠のない自信を全面に出して威張り散らしてる欠点だらけの人間も居るしな。
富豪のボンボンに多い。
[聞こえた憎まれ口には事例も挙げて返す]
別の、ね。
[は、と。零れ落ちるため息は、呆れたようなもの]
そりゃ、ここで大人しく捕まるようなら、わざわざこんな『劇場』設えないだろっ!
[低く言い放ち、現れた人形二体を見る。
下街でのケンカはそれなりにこなしているが、荒事に関してさほど強いわけではない。
自分の動きに関して頼れるのは、常に傍にいた風の流れ]
……『行け』っ!
[低い声の後、風が流れる。
切り裂く刃ではなく、全てを打ち倒す勢いを乗せて]
さてね。
決めるのはぼくじゃないさ。
[少女の小さな声に、合わせるでもなく答える。
他とは違い、彼にここを出る気はなかった]
[アーベルが風を放つのを見て、レナーテがぐるりと腕を一回転させた]
さーて。
そんじゃこっちも、行きますか。
[唇をぺろりと舐めると、心底楽しそうで、それでいて獰猛な野獣のような笑みを見せて、レナーテが走り寄る]
ブッ壊しても、文句言うなよ!
[そう言ってまず戦いの相手に選んだのは、人形達。
相手の動きを見定めながら、鋭い突きや蹴りを次々と放った]
人の身の丈はある人形…。
アーニャとか言う人形を見れば、ただの人形で無いだろうことは判断に難くない、が。
[邪術・ネクロマンシー系列の可能性はあるだろうか、と]
[口には出さずに考える]
どちらにせよ、二体同時に行使出来ると言うのは。
いや、もしかすればそれ以上を繰る可能性はあるのか。
余程の技量では為せないのは事実か。
それも前向きって言うのかしら。
……もう、そんな事公言してると処分されるわよ。
ふうん、碌でもないって自覚はあるのね。
いつも上から目線で偉そうだから、神にでもなったつもりでいるんだと思ってたわ。
[視線は水盤の向こうに引き寄せられる]
何かしら、あれ。可愛い。
そうかい。
…ならいいさ。無理には聞かない。
[香水売りの話に出てきた少女をちらと見て、笑みを零した。
彼女が怒るという夢がどんな内容なのかは知る由もないが]
[アーベルの言葉にあははと笑いながら]
ごもっとも
じゃあ、頑張って力ずくで押さえてみてね
もちろん……そんなこと出来るならね!!
[動いたのは、前衛の人形(大)2体
後衛の本隊への風を遮るように彼女の前に立つ]
[隻眼の言葉には、口を開いて言葉を出そうとしたけれど、止めて鼻をひとつ鳴らし。
翠のマフラーをカチャリと手を上げて鼻まで引き上げ、
ライヒアルトの言葉に、ん、と頷いて。
水鏡で起こる様子にチラリと視線を向け。]
あー、まぁ…そりゃそうか。
つかもう、決まってんじゃね?
[ぽつりと 軽口の温度の声。]
[『声』はそう何度も使えない]
[護身用の短剣を抜く][普通の短剣よりは少し長いもの]
[玄人とまではいえないがそれなりに慣れた様子で構えた]
相手によって設けられた舞台。
さて、何が飛び出してくるか。
[前方の動きを視界に入れながら]
[周囲を警戒する]
どちらにせよここから出られなきゃ処分は確実だろうよ。
出られたらの話だ。
仮に出られなくても、相手は痛い腹を探られることになってる。
[そう手配してきたが故に]
[失脚は無理でも痛手は負わせられるはずだ]
ふん、神なんざなるもんじゃねぇよ。
なる気もありゃしねぇ。
[それは以前にも口にした言葉]
[それを思い出したためか口にした言葉に対してか]
[厭うように眉根が寄った]
[引きたくはないが、他への影響を考えれば前に出るのは危険だと分かっている。
警戒はしていても、何が出来るわけでもないのだから]
副業。
[繰り返す。納得いかない、といった表情]
……なんのために、人形を創っているの?
なんのために、「本業」をしているの?
人を喜ばせるために、人を傷つけるの……?
[その隙を狙ってこちらへ攻撃を加えてこようとするレナーテにちらりと視線を送ると]
甘い。近付かせるわけにはいかないんでね
[そう言って、足止めのため『リトル・レギオン』の一部を彼女に向けた]
……言われなくても、そのつもりっ!
[流れを遮ろうとする人形の動き。
風に頼めるのは、単純な動きだけ。
どうするか、の思案は短く]
……『避け』て!
[上げた声が願うのは、回り込み。
くるり、大人形の前で渦を巻いた風は、壁を避けるように左右から回り込もうとしてゆく。
それと、同時、肩の上の翼が空へと舞った]
[ゲルダに付き従う小さき人形達は、かなりの素早さで動き回ってはいたが、捕らえきれないほどではない。
レナーテの拳が、足が、人形達に触れ、次々となぎ払っていく]
―――お。
[だが―――数の多さは如何ともしがたく、レナーテが放つ攻撃の数倍の速さで攻撃を仕掛けてきて、一瞬のうちにレナーテの体に次々に裂傷を受けて、血を飛び散らした]
おー。
[感嘆の声を上げつつ、それでも、レナーテの攻撃は止まない。同じように、人形の群れの攻撃もまた止まない]
かもね。
何にせよ、同じことだ。
[返す声は、いっそ穏やかに聞こえたかも知れない。
いつか聞いた言葉が耳に届けば、ほんの少しだけ眼を細めた]
…………ちなみに
戦力が見えるものだけ………なんてのは甘い考え
[そう言うと同時、エルザとハンスの後方からも潜んでいたレギオンが襲いかかる
エルザの質問には一瞬そちらに視線を向けるものの、すぐにそれは目の前の二人の方へ]
はっ。はは。
[致命傷を受ける攻撃は一つとしてない。そのような攻撃は全て皮一枚で避けている。
それでも襲い来る怒涛の攻撃は、レナーテの周りに血煙を巻き上げ、地面を赤く染め上げていく]
ははははっ。
[それでも、レナーテは変わらない。何一つ変わらない。
ただ、その顔に浮かぶ笑みが段々と濃くなっていく]
あはははははははははははっっ!!
[やがて、笑みは哄笑になり、周囲に響き渡る]
楽しい!楽しいじゃねえか!
すげえ!すげえよ!こんなに沢山の人形を同時に扱えるなんてよ!
[目がランランと輝き、体が傷を負うたびに、レナーテの動きは―――洗練されていった]
やはりくる、な!
[後方から飛び出してくる人形]
[逆側にいれば位置に入るだけでギリギリ]
[それでもギンと鈍い音が響く]
[力任せに払う]
……んとに筋肉馬鹿だな、ありゃ。
[戦う事を悦びとし]
[その動きが洗練されて行く女剣士]
[致命傷を受けずとも周囲を紅く染めて行く様に]
[呆れの声色が混ざった]
だがまぁ……気持ちは解らんでも無い。
[口元に浮かぶ笑み]
[手加減なしで強者とやり合う楽しさは己も知っているが故に]
[「避けて」という言葉と共に人形(大)を回避して風はエルザに襲いかかる
だが、口元を歪ませると]
それくらい……予測がついてないと思った?
[同時、大人形の背から盾を持った隠し腕が現れ、避けようとした風の進路をも阻む
そして、飛び上った隼には人形たち射出]
さあ、来い!人形共!
お前らが感情を持ってんなら、この気持ちも分かるだろう!
もっと。もっともっと楽しもうぜ!
[痛みは、人の体に躊躇をもたらす。
傷は、人の体を鈍らせる。
だが、それはただレナーテの笑みを深くさせ、その動きを軽やかにするのみ。
それは人の理を、ほんの少しだけ超えている証でもあった]
―――。
[レナーテが人形を砕く]
―――。
[レナーテが人形を吹き飛ばす]
―――。
[レナーテが笑い続ける]
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