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…へそ?
[ローザの言葉に、自分のまくった上着を見下ろして
ん、と頷いて服を下ろした。
5年、と言われてぱっと開いた手を見下ろし]
5年かー。
そのまえに此処こっそり出ないと、やべぇよな。
[5年どころか。
ぽり、と頬を掻いてから、ライヒアルトに視線を戻し]
…そうだな。
まさかオレがあんたの心配するとはね。
[真顔で返した。]
ん、まあ、とにかく、さ。
[は、と一つ息を吐いて。
がじ、と蒼の髪を掻く]
ハンスのにーさんも調子悪そうだし、真面目に休憩した方が良さそうだよね。
……フーゴーのおっちゃんとこ、いこか?
さすがに、あそこで仕掛けてはこないだろうし、ね。
[いつまでもこの場にいても仕方ないのは確かな事、と割り切りつつ、こう言った]
ああ。
[エルザに感謝の眼差しを向け]
[伸びてきた手に数度瞬いた]
[触れられた手に引き出される懐かしい記憶]
[歌っていると呼びに来た手の持ち主]
[ただ一緒に歌うことが楽しくて][歌うことは楽しくて]
[記憶の中と同じように腕を取られるまま]
[促されるまま歩き出す]
[腕を取ろうとしたハンスの様子にはこちらも瞬いて]
なぁに。いや?
[いなくなって、歌うことを止めてしまって。
伸ばした手は、その指は、奏者のそれになってはいたけれど。
問いかけるさまは、昔とさして変わらない]
[行きましょ?と皆を促し、*歩んでいく*]
広いね。
[途中アーベルの言葉には顔を向けて]
時に心細くなる位には。
[故郷を確認したくなる位には]
[逃げ出したはずのイキシアであっても]
[休憩を言われれば謝罪と感謝に軽く目を伏せて]
[エルザの問いには小さな笑みを浮かべて首を振り]
[共に移動*していった*]
[水盤に映される映像]
[その一角を見つめて口元に笑みを浮かべる]
……後で問い質さねぇとな。
[誰に対しての言葉だったか]
[出る気満々の様子でぽつりと*呟いた*]
[首を傾げる姉の様子に、軽く肩を竦め。
レナーテにも、行こか、と声をかけて歩き出す。
周囲揺らめく風は、今は穏やかに流れていた]
……心細くなる、か。
[ハンスの呟きを、小さく反芻して]
それでも……。
[続く言葉は、声には乗らず。
聞き取ったのは、肩にとまった翼ある友のみ]
…………。
[ふる、と首を軽く振る。
今、考えるのは、終わらせる事だけ、と。
そんな風に、*意識を切り換えて*]
だってオレ、孤児院に居る時から、
あそこに来る大人嫌いだったからな。
[苦笑に少しむすっと
眉をひそめて、口を尖らせた。]
あ、そっかぁ、とりあえずそこからね!
[ここ抜け出さないと、というカヤに同意する。はっと、ちょっと気が付いた事もあったが、考えない事にする。]
…なんか急に動いたからか眠い…
[長く寝る癖がついたら自衛団のせいなんだからーといいつつ、横になる。あくび一つ。]
それはきみが一方的に、だろう。
確かにぼくが見ただけでも、手を焼く人は多かったが。
[口を尖らせる様を苦笑を浮かべたままに見る。
手を焼く人の中には恐らく彼自身も含まれていた]
どうして嫌いだったんだい。
寝るといいんじゃないかな。
なんかあったら起こしてやるよ?
…起こした方がよさそうな時は!
[あくびをするローザには、声を投げつつ
ぺたり、床に膝を抱えて座る。
ライヒアルトの言葉に
マフラーに鼻まで埋めて]
来る人、「かわいそう」って言うから。
[それはきっと一部の人だが、
小さな頃の少女にとって、大人は同じに見えて。]
本当に元気だな、きみは。
[横で欠伸をする香水売りに、少しだけ眼を向ける。
少女の言葉が聞こえると、苦笑は一度消える。
眉を下げた]
そうか。
…それは嫌だね。
じゃあなんかあったときに起こしてもらうー…
[くわわわとあくび。水盤に見える街の中の、張りつめた空気にちょっと申し訳ないと思いながら、前回敷いて使った毛布を被り、目をつむる。]
[自分宛であろうがなかろうが、周りの声に、うんうん、うんうん、と頷いて。頷かなくなった時っていうのは、*寝てしまった時*。]
…――うん。
[ライヒアルトの言葉に、膝を引きよせて
尖らせた口をマフラーにうもらせる。
眉を下げた様子に同じように、思わず眉をさげた。]
同情なんて、惨めなだけだ。
[ふと視線を下げて、続いたのは独り言にも似た言葉。
そのまま横目で伺っても、自衛団長の顔は見えなかったけれど]
…まあ、いんだけどさ!
[暫くの間、じっとしていたけれど
ぱっと顔を上げて、ライヒアルトを見て明るい声を出し。
釣られるように自警団長を見てから、また視線を戻し
膝の下、自分の足先をじっと見た。]
…あんたさ、この「仕事」何時からしてんの?
[明るい声を聞いて、ゆっくりと顔を上げる。
今度は反対に俯いた少女を見つめる。
発された問いかけへの彼の答えは、少し間が空いた]
…始めたのは、2年前だったかな。
2年かぁ。
長いのか最近なのかわかんねぇな。
[少なくとも、自分はもっと、長い。
チラチラと向ける視線はベッティや自警団長にも向けながら]
…な、
――――間違ったと思うか?
[小さくちいさく呟く言葉。
問いの返事が返るのをじいと彼を見て待ちながら、
翠の瞳は*揺れていた*]
長かったよ。
…ぼくにとってはね。
[目の前の少女がもっと長くそこにいたことを知ってか知らずか。
問いに眼を上げて、向こう側の壁を見る]
さて、どうだろうね。
ぼくには分からない。
[ほんの少し前まで友人と呼んでいた男もその先にはいた。
だが、今の彼の眼はそれを捉えない]
…けどね。
時間が戻ったとしても、きっと同じことをすると思う。
[最後にそう、呟くように付け加える。
それから、彼は眠るように*眼を閉じた*]
[視線を巡らす]
[目に入るのは、水盤][街で起こっていること]
[修道士とヴィリーとの関係や][カヤの裏の仕事]
……わからないことだらけ。
子供は黙ってろって所かしら。
[睨むような視線の向こうには隻眼の男]
[明るく振舞う天然の少女][共に育った元友人][教会の修道士と]
[何かしらの縁ある者ばかり、部屋に増えていく現状]
……こうしていても、事態は変わらない。
[ゆらり立ち上がって、扉の前へ歩く]
Vergib uns unsere Schuld,
wie auch wir vergeben unseren Schuldigern,
und fuhre uns nicht in Versuchung,
sondern erlose uns von dem Bosen.
[祈るようにつぶやいた後、おもむろに足を振り上げて]
[回転をつけながら思いっきり、扉へと蹴りを放った]
[鈍い音。ふらつく体]
[気にせず、蹴った]
[蹴った]
[蹴り続けた]
[痛みと疲れからその力が弱くなっても、ただただ音を奏で*続けていた*]
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