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全てご存知、か。
[暗示されたことに薄く笑う]
[エルザと同じく代金を取り出そうとしたが]
[レナーテが先に動いて手を止めた]
礼は後で。
[静かに立ち上がる]
おう。
[アーベルの言葉に、小さく返事をすると思い出したように]
……ああ、兄さん。
お互い、無茶はしねえこと。約束な。
[と、軽い調子で肩をポンと叩いた]
師匠さんとエルザは、後方のほうよろしく。
さ。行こっか。
[軽い口調で、いつも通り大股でレナーテが歩き出した]
[アーベルの売り言葉には、華麗に無視を決め込み]
…………では、お待ちしております
それでは、私はこれにて
[そう言うと、アーニャは前触れもなくフッとその姿を消す]
んじゃ、まあ。
ちょっと、行ってくるわ、おっちゃん。
[どこかぽかん、としている主人にひらり、と手を振って。
直後、肩に置かれた手。
それと共に向けられた言葉に、笑いながら一つ、頷いた]
はい、はい、と。
無茶はしないよ。
[軽い言葉と共に、外へ出る。
外で待っていた隼を肩に止め。
向かうのは、先ほど話した街外れの空き地。
そこが、最初の『サボり場』だった事は、今は他に知る者もなく]
[歩く後、慕うよに揺らぐ、風。
それと共に舞う花弁は、それだけを見たならいつもと変わらない。
そんな事を考えつつ、道を進んで。
たどり着いたのは、街外れ]
─ →街外れ─
……さて、と。
お呼びに応じて、ただいま到着……ってね。
[周囲を見回しつつ。
上げる声は、軽いもの]
─街外れ・空き地─
[事件の影響もあり、人通りのない街外れの空き地
その中央に佇む彼女の足元には小型のソードやランスといった武器を手にした彼女の人形たち
そして、彼女の一歩前方に置かれた2つのキャリングケース
4人が現れると、にっこりと笑い]
ああ、お待ちしておりました
ようこそ私の『劇場』へ
[そう言って優雅に一礼]
[空き地の様子、『劇場』というゲルダの言葉。
がじ、とまた、蒼の髪を軽く、掻いて]
……なんというか、随分と剣呑なステージだなぁ。
祭りの催し物には、むかないんじゃね?
[軽い口調で言いながら。
風はゆらり、と周囲に集う]
ま。
聞いてたんなら、こっちの用件はわかってんだろうし、ごちゃごちゃ言う必要はないよな?
―街外れ―
[広い空き地を通り抜けていくのは風ばかり。
「観客」となった女は、小さいとはいえ、武器を手にした人形の姿に目を瞠る]
……『劇場』ねえ。
[弟の物言いに同意するように、]
一緒に舞台を創り上げたかったのだけど。
あれも――結局、単にお金のためだったのかしら。
どうして、こんなことを?
[それでも、問いかけてしまう。]
―――街外れ―――
よ。お待たせ。
[シュタと手を挙げ、ゲルダに答える。
ピリピリとうなじに感じる殺気に多少苦笑しつつも、手に色々な獲物を持った人形達とゲルダを見つめる]
うんうん。
この雰囲気。久しぶり……ひさ……考えてみれば、あまり久しぶりって程でもねえ気がする。
[小さく、笑みを見せて、軽く拳を握った。
ちなみに、今までと同様鎧は着ていない。
鎧を着るヒマが無かったというのもあるが、元より着てくる気もあまりなかった。
ケンカにそんな防具は無粋だと思っていたから]
[アーベルの言葉にくすりと笑い]
それとこれとは別の『お仕事』ですから
[こちらも軽い調子で返し]
ええ、ですがこちらの答えも分かってますよね
答えは、断じて『ノー』です
[ピッと指を振る。同時、バクンと音をたてケース開封
中から出てきたのは彼女より背丈のある人形2体]
―街外れ―
やるなら力ずくでやってみろということか。
[黙ったまま聞いていたが]
[等身大(より大きいか)の人形が出てくるのを見て]
[エルザより一歩だけ前に出た]
[エルザの言葉にはにっこりと笑顔を浮かべ]
こちらはあくまで副業ですよ
『人形』を創るのはいろいろ入り用ですので
[特に魔術で動く人形は普通の人形とは色々違う
物質非物質問わず実に色々と入り用なのだ]
別の、ね。
[は、と。零れ落ちるため息は、呆れたようなもの]
そりゃ、ここで大人しく捕まるようなら、わざわざこんな『劇場』設えないだろっ!
[低く言い放ち、現れた人形二体を見る。
下街でのケンカはそれなりにこなしているが、荒事に関してさほど強いわけではない。
自分の動きに関して頼れるのは、常に傍にいた風の流れ]
……『行け』っ!
[低い声の後、風が流れる。
切り裂く刃ではなく、全てを打ち倒す勢いを乗せて]
[アーベルが風を放つのを見て、レナーテがぐるりと腕を一回転させた]
さーて。
そんじゃこっちも、行きますか。
[唇をぺろりと舐めると、心底楽しそうで、それでいて獰猛な野獣のような笑みを見せて、レナーテが走り寄る]
ブッ壊しても、文句言うなよ!
[そう言ってまず戦いの相手に選んだのは、人形達。
相手の動きを見定めながら、鋭い突きや蹴りを次々と放った]
[アーベルの言葉にあははと笑いながら]
ごもっとも
じゃあ、頑張って力ずくで押さえてみてね
もちろん……そんなこと出来るならね!!
[動いたのは、前衛の人形(大)2体
後衛の本隊への風を遮るように彼女の前に立つ]
[『声』はそう何度も使えない]
[護身用の短剣を抜く][普通の短剣よりは少し長いもの]
[玄人とまではいえないがそれなりに慣れた様子で構えた]
相手によって設けられた舞台。
さて、何が飛び出してくるか。
[前方の動きを視界に入れながら]
[周囲を警戒する]
[引きたくはないが、他への影響を考えれば前に出るのは危険だと分かっている。
警戒はしていても、何が出来るわけでもないのだから]
副業。
[繰り返す。納得いかない、といった表情]
……なんのために、人形を創っているの?
なんのために、「本業」をしているの?
人を喜ばせるために、人を傷つけるの……?
[その隙を狙ってこちらへ攻撃を加えてこようとするレナーテにちらりと視線を送ると]
甘い。近付かせるわけにはいかないんでね
[そう言って、足止めのため『リトル・レギオン』の一部を彼女に向けた]
……言われなくても、そのつもりっ!
[流れを遮ろうとする人形の動き。
風に頼めるのは、単純な動きだけ。
どうするか、の思案は短く]
……『避け』て!
[上げた声が願うのは、回り込み。
くるり、大人形の前で渦を巻いた風は、壁を避けるように左右から回り込もうとしてゆく。
それと、同時、肩の上の翼が空へと舞った]
[ゲルダに付き従う小さき人形達は、かなりの素早さで動き回ってはいたが、捕らえきれないほどではない。
レナーテの拳が、足が、人形達に触れ、次々となぎ払っていく]
―――お。
[だが―――数の多さは如何ともしがたく、レナーテが放つ攻撃の数倍の速さで攻撃を仕掛けてきて、一瞬のうちにレナーテの体に次々に裂傷を受けて、血を飛び散らした]
おー。
[感嘆の声を上げつつ、それでも、レナーテの攻撃は止まない。同じように、人形の群れの攻撃もまた止まない]
…………ちなみに
戦力が見えるものだけ………なんてのは甘い考え
[そう言うと同時、エルザとハンスの後方からも潜んでいたレギオンが襲いかかる
エルザの質問には一瞬そちらに視線を向けるものの、すぐにそれは目の前の二人の方へ]
はっ。はは。
[致命傷を受ける攻撃は一つとしてない。そのような攻撃は全て皮一枚で避けている。
それでも襲い来る怒涛の攻撃は、レナーテの周りに血煙を巻き上げ、地面を赤く染め上げていく]
ははははっ。
[それでも、レナーテは変わらない。何一つ変わらない。
ただ、その顔に浮かぶ笑みが段々と濃くなっていく]
あはははははははははははっっ!!
[やがて、笑みは哄笑になり、周囲に響き渡る]
楽しい!楽しいじゃねえか!
すげえ!すげえよ!こんなに沢山の人形を同時に扱えるなんてよ!
[目がランランと輝き、体が傷を負うたびに、レナーテの動きは―――洗練されていった]
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