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[テュメルキスタに連れられ宴の中をゆっくりと歩く]
『ったくよー、あれ以来ぱったり来なくなりやがって。
俺ずーっと待っててやったのに』
ごめんってば。
あの後なかなか抜け出せなくなっちゃってさ。
やりたいことも見つけたからそっちに夢中になっちゃって。
『へーん、どうせ大したことないんだろ。
仕立て屋とか言ってたが、評判なんざたかが知れてるんだろー?』
そんなこと無いよ。
そりゃあ店を構えてるのが村だから大繁盛とはいかないけど。
特に女性にお得意様が多いかな。
『ホントかぁ〜?』
[テュメルキスタは疑わしげな目でイゾルデを見やる。
信じてもらえない様子に小さく肩を竦めた]
別に良いけどね、信じてもらえなくても。
僕は、必要だと言ってくれる人に作ってあげるだけだ。
『……お前変わったな。
昔はムキになって突っかかって来たのに』
大人になったと言ってくれない?
いつまでも子供じゃいられないんだよ。
『……あー、そーかい!
大人になったから、約束も忘れちまったんだな!
もう良いやいっ!!』
[ぶすくれ顔になるテュメルキスタ。
喚き散らすとイゾルデを置いてどこかに行ってしまった]
あ、ちょっとテュメルキスタ…!
……約束?
[手を伸ばしテュメルキスタを捕まえようとするも時既に遅し。
残された言葉に首を傾げることとなった]
[せがまれるまま、穏やかな声が異国のお伽話を紡ぎ出す]
――…そう。
そうして月の精は、焦がれ続けた花と、共に在り続けることになったのでした。
その花が今もなお、あなたの帽子のような薄紅色を保っているのは、月の精が未だ花とともにあるからだということです――
[語る間、閉じていたどんぐりまなこをぱちりと開けて]
めでたしめでたしとなー。
[水鏡の近くにぴょこり、と座る。近くにいた妖精たちは、ヒルダのお話に夢中なのか、周りは比較的静か]
そーいえばさぁ、ミステル。
『んー?』
妖精の宴って、いっつもこやって、人呼んでたりするの?
『ん、まあね。
今回は、あちらのおかげでひとがたくさん訪れてるから、ってのもあるけど。
……もっとも、そんなに頻繁に呼び込んじゃうわけにはいかないんだけどさ』
えーと……前に、話してた、「かじょーかんしょー」ってヤツ?
『そ、それ。
色々なもののバランスを取るには、大事なんだよー?』
へー。
[よくわかっていないっぽいです]
[約束の内容を思い出せぬまま、視線は周囲へと巡る。
何かの傍に座るマリオンを見つけ、そちらへと近付いた]
マリオン、何してんの?
[呼びかける声に、ふ、と視線をそちらに向ける]
あ、にーちゃん。
んー、次、誰が来るのかなー、って思って。
向こう、見てた。
[言いながら、水鏡を指で示す。
木の葉色は、青色の妖精の見えぬ事に不思議そう瞬くものの。
口出しすることでもない、と判じたのか、軽く翅を揺らすだけ]
って、ほのわっ!?
[驚きの声を上げるのは、]
い、いつの間に、こんなに集まっていたんだい…?
[語っている最中は目を閉じていた為に、辺りに妖精が集まっていたことに気付けず。
予想以上の妖精に囲まれ、あわあわばたばた]
向こう見てた?
[示された水鏡に視線をやり、覗き込む]
へぇ、こんなものもあるんだね。
流石は妖精と言ったところかな。
次、かぁ。
クルトが悔しがってそうだからなぁ、あいつが来れれば良いんだろうけど。
『るーい、行って来ていいかしら?』
好きにしろ。迷惑を掛けん程度にな。
『私は子供ー?』
[ぷ、と頬を膨らませ、青はふわりと舞い上がる。
ヒルダの真上で逆さまにふわふわり]
『素敵なお話をありがとう。
ね、色んな話を知ってるのねー』
[ばたばたしているのに、くすくすと笑うだけで]
うん、向こう側、映ってるんだ。
[こくり、と頷く]
兄貴かぁ。そーだねぇ。
一番いいのは、みんな来れること、だけどねっ。
『狙って呼べればいいんだけど、それもままならないからなぁ……。
ぼくも、狙いは外れたし。
王が誰を招くかは、さっぱりわからないし』
全員纏めて、ってのは無理なんだっけ。
ギールギースも狙えたのは最初の一回だけって言ってたなぁ。
[腕を胸の辺りで組み、その状態で右手を顎に当てる]
うん、全員来れると良いけど……宴は夜の間だけだろう?
時間には流石に逆らえないからねぇ。
…ふ、ふへ?
[聞こえた声は真上から。
ぐみょん、と、首と背中を反らし、銀月浮かぶ、空の方角を見遣る。
視界に入る色彩は、青]
あ…っ。君はルイくんといた子なのだね?
[確かめるように尋ねて。
告げられる言葉には、照れたように頬を掻いた]
うやー、どういたしましてなのだよ。
ま、たくさん旅をしていると、自然に覚えてしまうのさっ。
[自ら好み、聞いているからだという自覚はさして無い]
『うん、さすがにそれはね。
界の理を曲げる事になるし。
……上手く狙えない、理由の一つは、王の招待する力が強すぎるから、っていうのもあったりするんだけど』
[後半の部分は、呟くよな声。
何気に、根に持っているらしい]
あ、そっかあ……月が沈んじゃうと、おしまいなんだっけ。
……間に合うといいなぁ……。
王様には逆らえない、と。
まぁ当たり前と言えば当たり前なのかな。
にしても……。
[一度玉座へと視線を向けて]
…本当に絵本に出て来るような王様の格好だよね。
[ぽつりと零してからまた視線はマリオン達へと戻る]
どうかなぁ、あの様子だと何度か失敗したみたいだし。
これでクルトが来なかったら一週間くらい拗ねるよね。
まだもーちょっと、夜は残るしてるのでした!
次は行くできるかも!
でもワタシも行くしたいから、誰がお呼ばれするか、
それも楽しみ
[王様が呼んだという言葉を思い出し、笑んだ]
『まあ、そーゆーこと』
[ぱたり、と翅を揺らして、木の葉色は金の粒子を零す]
『一応、色々な姿に変化できるんだけど。
あれが、一番ラクな姿らしいよ?』
[ちらり、と王を見て、木の葉色もぽつり]
うん、そーなんだよねぇ。
……一週間くらいで……すむ、かなぁ……。
[逆さまの身体をまっすぐに戻して、
ふわふわとヒルダの横まで降りていく]
[地にまで下りたら他の妖精の邪魔になるから
正座のように膝を曲げ、少し上で滞空して]
『ええ、エリーゼと云うわ。
以前会った時はルイが嘘ばかり吐いてごめんなさいね。
本当のことを言ってしまったら摂理が乱れてしまったから』
[苦笑混じりに首を傾ぐ。
八の字の眉が告げた言葉は嘘では無いと示して]
『私たちも色々旅をしているけれど、
ルイは詩ばかり集めてしまってお話はあまり知らないのよ。
色々と教えて貰えると嬉しいわーっ』
[はたた、感情に合わせたかに軽やかに羽が揺れる]
[不意に、聞こえた声。
木の葉色はきょとり、と瞬き。
それから、王の方をちらりと見る。
じいい、としばらく凝視]
『……自覚あるから怒ってない……って感じでは、ない、かな。
はしゃいでるから、細かい事は、気にしてない、って感じ?』
[ご機嫌に見える様子に、ぽそっとこんな呟きをもらしたり]
なるほど、楽だから、ね。
[ミステルタインの言葉を聞いて、小さな笑いが零れた]
……済まない、かな。
子供の時もそうだったしなぁ。
ずるいずるい連呼されて、喧嘩になって。
最後は何で喧嘩したかを忘れてたけども。
けどこればかりは僕らにもどうしようも出来ないからねぇ。
[イゾルデが笑う様子に、木の葉色もくすり、と笑う]
へー、そんなこと、あったんだぁ。
[兄たちの子供の頃の話に、少年はきょとり、と瞬いて]
だよねぇ。
王様が呼んでくれるか、ギースが上手く当てられるかしないと、だし。
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