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…ふざけんじゃないよ。
[低めた声は揺れていた。
ここで言っても詮無きことと分かってはいたが。
肩に手を置かれ、俯いたままで目を見開く]
…ッ、お前だって。
死なずに、済んだかも…しれないじゃないか。
[自分さえいなければ。
そう思うのは傲慢な気もしたけれど、地に突いた両手を握り締めた。
手を避ける間も逃げる間も無く、透明な雫が零れ落ちる]
[イレーネの様子の変化に、一つ、瞬く。
心のどこかで、ずっと否定していた可能性。
だから、視るのは避けていた]
……っ……。
[つき、と。微かな痛みが走る。
かつては命が鼓動を刻んでいた場所。それは、力の宿っていた中枢でもあって]
最後まで止まらない惨劇、て。
[婆さんが言ってたような言葉に、眉の間に皺が寄る。]
惨劇なんて、もう十分だろ?
まだ何かあるのか?それとも、やるのか?
[ユリアンへ問いかけたが、答えはイレーネの方から返ってくることになる。]
え、嬢?
[見慣れたはずの団長の孫の、その瞳の色は別人のようだった。]
/*
部屋と廊下じゃいろいろやり取りが…とかもう考えない事にしよう。
で、どうしたいんだろうか。
ユリアンなのだろうか、イレーネなのだろうか。
終りにしたいですか、したくないですかってとこか…
ううむ。
イレーネならフォルカー頑張れ!じゃないと面白くないと思ったり…
ちなみに俺のデフォはイレーネだった。
まだ変えてないが…はて。
[座り込んでいた状態から立ち上がる。腕を押さえていた手も離した。実際、痛みはそれほど残って居ない]
……ボクが人狼なんだよ、フォル。
ジジイを喰べたのは。
ほとんどはエーリッヒが襲ってたんだけど。
ミーネさんの肉は喰べた。
ボクがみんなが忌むべき、人狼。
人を襲わなければ生きていけない。
罪人の烙印を押された仔───。
[近付いてくるフォルカーへ向ける言葉。悲しみを湛えた声と、享楽を湛えた聲。近付いてくる様子に一歩後退る]
ぁあ…ごめんなぁ。イレーネ。本当は裏切りたくなかったんだぜ。
今回のは…どうも俺好みだったからな
最初やる気なかったけどよ。
でもさっきまでは狂ったもののままその役柄どおり人狼の味方でもしようかなーってな。
[それは己の内にある本音であるのは伝わるだろうか
でも実際には違う行動たる矛盾]
ただそこでちと問題があってな。
……俺は。
今度の事がなくたって、そう、長くなかったから。
[零れた滴に、疼きに基づくものとは違う痛みが微かに走る]
だから、自分の思うようにやったんだよ。
……ずっと、そうしてきたように、な。
[ぽつり、呟くのは。
抱えてきた『隠し事』の一端]
――っ
[ハインリヒの声に、イレーネから視線をはずした。
呼ばれるままに、立ち上がろうとして、ふらついた。
イレーネの声が聞こえる。
肉を食べた。
動きが止まる。ハインリヒの方にいきかけた足も。
ただ、フォルカーが近づいていく先の、イレーネを見た]
[状況が良く理解できずに、ハインリヒの傍で様子を眺めていた。
イレーネの金色の瞳には、きれいだなー…などと思いながら。
フォルカーとイレーネの2人に心配そうな視線を向ける。]
ん、だと…!?
お嬢、お前さん…
[まさか、と思った。まさか子供が、と。
だからイレーネへフォルカーが近づくのを止めようとした動きは後手に回り、
何かあったら…と後ろ手に鉈を握る手に力が入る]
――……。
[イレーネの表情のない顔を見て、苦い表情を浮かべた。
ふらつくウェンデルを視界におさめながら、
しかしフォルカーとイレーネからは完全に視線を外すことができなかった]
れぇ、ね……っ!
そんなの――……………
[継ごうとした言葉は、熱くなる胸の前に掻き消える。
誰かが言う声が、聞こえる気がした。
人狼を滅せ、と。
がく、と、前のめりながら、足を前に出して、少女の方へと進む。
痛くなるほど己の胸元を掴むんでいた手が、震えた。
苦悶にも似た表情が浮かぶ、けれど、少女の声を聞くたびに薄れていく]
…ハ。
それって如何、い ――!
[昔馴染の言葉に、疑問を発し掛けて。
喰われた花が、声無き悲鳴を上げる。
僅かに体勢が崩れ]
…喰べ、た?
[再び上げる顔は、女の名前を呼んだ“人狼”へと向いた]
えー。冗談が好きっていってたじゃんか
[ハインリヒにそんな言葉を返して、ダーヴが言葉に詰まったのを耳にしながらも、無防備に一歩イレーネに近寄り]
ぁあ。問題ってのはすんごく私的な問題。
俺……どうしても…裏切ってなきゃ生きてけないタイプなんだ。
[だから同じ人間も裏切って、見捨て
そうすることで自分が悲しいと知りながらも、そんな自分ごと裏切り続けて手は出さず。
心底と表面で浮かぶ思考のどちらかを裏切って。
そして人狼を味方すると思わせてやはり裏切って]
だからさぁ…頼られたって思われたら…裏切りたくなっちゃうじゃんか…
[そしてウェンデルを殺そうとする振りまでしたのだというように]
[先ほどのフォルカーの言葉を思い出して、
あ、と小さく声をあげる。
ふらついた足元のまま、フォルカーに向けて手を伸ばす。
届くだろうか]
フォルカー君…!
[怖いといっていた。
それでも、今の彼はもしかしたら――]
ダメです!
[喰べた、という声。
力の用い方の師でもあった主治医は言っていた。
人狼は、人を喰らって生きるのだと]
……それはそれで、命の在り方……なんだろう、けれど。
[小さく呟き、ふる、と首を振り。
体勢を崩す昔馴染みの様子に、支えようと手を伸ばした]
……言ったとおりの、意味、だよ。
[途切れた疑問には、ただ、それだけを]
なっ…団長、喰ったって…。
[イレーネの言葉に愕然とする。ずっとエーリッヒが食べたものだと思っていた。
近くに団長の魂が見えた。相変わらず、どこか悲しげな顔をしているようだった。]
まさか、団長………だからそんな顔してたんですか………?
[御霊が答えることは無い。自分に宿った力は薄く、魂のその色を見分けることしか出来ない。
もしもっと力の強い女であれば、声を聞き、霊を宿すことが出来たのだが、祖母はそのあたりの詳しい事は話さなかった。ゆえに知る事もなく。
呆然と、イレーネとイレーネに向かうフォルカーを見る。
止めないと、という思考が浮かび。
何から、誰を?という思考がそれを打ち消し。
人狼だ!と歓喜のような思いが湧き上がった。]
やめろよ、黙ってろ、俺は…。
[ぎりと歯を食いしばり、ただ目を逸らす事はせずに。
唯一残った思考で、武器になるような物の場所を把握した。]
そろそろ終わってるかなー? とか思いながら仕事から帰ってきてみたら、まだコミット揃ってなかった罠。
……うにゅー。(そわそわそわ)
来ないで!
[もう一歩後退りながらフォルカーに叫ぶ。瞳は金のままだが、表情に悲しみが乗った]
───自分じゃどうにもならないの。
人を喰べたいと思う衝動には抗えないの。
フォルが……人狼を殺さなきゃと思うのと、同じように。
[言いながら、防御本能とでも言うのだろうか。右手が爪を持つ獣の手へと変化する。灰青の、イレーネの髪と同じ色をした毛並みも現れた]
[近づいてゆくフォルカーを見ながら。
震えながらイレーネとユリアンの会話を聞いて。
くたり、と膝が砕けた]
たいぷ、って。
なにいってるのよ。
こんなときにまで。
[小さく何度も首を横に振る]
……面倒な人だと思ったけど、本当に、面倒な。
[聲は忌々しげにユリアンへと告げる]
協力する気が無いなら。
邪魔をするだけと言うなら。
───消えろ。
[変化した右手が振られる。下から掬いあげるよに、腹を抉るよな動き]
[ドアを一つ隔てた廊下の喧騒、もっとも耳につくのはユリアンとイレーネのもので]
ユリアンは…仕方がないな…。
[元からユリアンは人狼なわけではない、彼に何があるのか詳しい事はよく知らない。
ただ、彼もまた普通ではないのだろう。]
イレーネは…本当にそれで…よかったのか…。
お前が望んだものは……。
[もうコエをかけることもできないけども]
どちらにせよ…、浮かばれる道はないのかもな俺達は…。
[ウェンデルの手が衣服の端を掴み、少年の足は一端止まる]
はな、せ……っ!
[されど、それを振り払おうと腕が動いた。
顔を向けた少年の目には、負の感情がちらつく]
空気を読めねえ冗談は、大嫌いなんだよ。
[不機嫌そうに眉を寄せ、ユリアンを睨みつけた。
イレーネに近寄るユリアンとフォルカー、一歩ひいたイレーネ。
フォルカーを止めるべきか否かを迷いながら、まだ正気でいるかとフォルカーの表情を窺った。
何かあったら止められるように、じりじりと位置を移動しながら―]
[フォルカーが振り払うのに気付くけれど、ぎゅうっと握り締めて離さないように]
怖いって、言ってたじゃないですか…!!
[とはいっても、一度は耐えられても、二度目は無理だろう。
びくりと震えたけれど、
言わなければと思って]
そのままだったら、後悔します――!!
[支える手を退けることは、やはりしない。
昔馴染から返った答えには、唇を強く噛んだ]
お前、は、
また、そうやって…ッ
…いや。
[責める言葉は途中で止まり、首を振る。
言うべき言葉はまだ他にあった]
…それでも、
まだ、生きれたんだろう?
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