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予想通りでよかったな。見る目があったってことだよ
[救い上げるように振るう腕。人外の動きに神の加護のないものが無事で入れるはずもない。ただ身をそらし即死だけは避けるようにした。
腹部が熱い。ごっそりと奪われた感じ。いや、感じじゃなくて実際そうだろう。よろけるように壁に背をつけた]
っ―…!
[金の双眸をしたイレーネの手が、変わるのを目の当たりにした。
驚いた時にはそれは振るわれて―。
それはユリアンへ向けられたものだったが、
危ない、と、フォルカーの体を止めようと手を伸ばす。
ウェンデルに服の端を握られているフォルカーの表情に嫌な予感がして
その肩を叩こうと手を上げる]
まて―。
ウェンデルの言う通りだ…
落ち着け、フォルカー。
青年 ユリアンは、団長の孫 イレーネ を投票先に選びました。
[支える手は届き。
向けられる言葉、微かに、苦笑が掠めた]
……まあ、あと、二、三年は。
治療、途中で打ち切っちまったから、な。
真面目に治療続けてれば、十倍くらいにはなったらしいけど。
……治療に当てる時間を、他に使いたくて。
[答えながら、翠は場に舞ういろを追う。
どうなるのか。
見届けるより他にない、けれど]
うわ、痛そうー。
[イレーネがユリアンの腹部を抉るのを見れば、緊迫感の欠片もない声を上げた。
けれど、その手は胸の前で祈るように組まれている。
ほかの皆のような、特別な何かは持っていないけれど。
好きな人たちが……特にハインリヒが、できるだけ傷つかない事を祈る]
[爪がユリアンの腹部を抉る。その手には抉られた肉。爪が紅に染まる]
どうして、ユリさんはそうなの…。
馬鹿な人。
協力していたら生きて居られたかも知れないのに。
[悲しむ声と嘲る聲。ちぐはぐに繋がれた意識は相反する声色と言葉を生む。肉は喰らわず床へと投げ捨てた。腕の動きに沿って紅も飛び散る]
[ユリアンに意識を向けられる程の余裕はない。
耳に届くウェンデルの、ハインリヒの声に、その手に、動きは留められた。
腕を変貌させたイレーネへと、目を向けるのは、赤が散った後の事]
……………ッ、
[また、護れないと、その思いが思考を掠める。
表情に、狂気を孕んだものとは異なる、後悔の色が過ぎった]
でも、僕は、……………僕は、
[続きが紡げない。
自分は、どうしたいのか。
望みが、言葉に、ならない]
[言いながらも、視界は事の中心を捉えていた。
イレーネの振るう腕に、再び目を見張る。
頽れるユリアンの腹部が抉れていた]
――…ッ
[臭いは届かない。
痛みも無い。
エルザが動くのが見える。
視線を外すことは、できなかった]
[腹を抉られたユリアンに、イレーネを見る。
そこにいるのは、まごう事なき、人狼で。
力を持つフォルカーが、人狼を意識すると高揚するならば、
同じように力をもつダーヴィッドはどうなのだろう。
そんなふうに思ったか、フォルカーの肩を掴みながら一瞬ダーヴィッドの方を見やった]
…他、に?
[視線は目の前から外せないまま、聞こえた言葉を繰り返す。
身体が傾ぎ、支える手に寄り掛かる形になった]
如何して。
フォルカー君は、どうしたいんです?
[問いかける。
手はもうはずしても大丈夫だろうかと、少し考えて、はずした。
まだもう片手に握ったままだった破片を、今度こそ取り落とす。
ダーヴィッドはこういう状態になっていないだろうかと、少し心配して視線を巡らせた]
言いたいこと、言ったほうがいいです。
言っても、大丈夫です。
[ユリアンに対するイレーネを見る。
ユリアンの体から血が流れている]
イレーネさん…は?
どう、したいん、です?
[目を背けそうになりながら、小さな声で言った。聞こえたろうか、どちらでも良いというようなそんな大きさで]
/*
むう、帰着点が見えん。
今回は、内訳が読めた時点でシステム的な意味合いも含めた人狼勝利もあるかにゃ、と思ってたんだがなー(汗。
色々と予想外でしたよ。よよ。
[抱きとめられる、わけがない。
すり抜け殆ど重なるようにしてそれでも手を回す]
いやよ。
[心のどこかが囁く。
このままなら会えるのではないかと]
いやよ。
[けれど姿はそれとは逆に。
流れる緋色を止めようとするよに抱きついた]
ハッ…ははっ。
仕方…ない、だろ、それが。俺だ。
代償が、ないと、罰が、ないと。おか。しい。だろう
それに、裏切る前は。俺が死ぬことも。前提。だったんだぜ。
[血の気を失った顔色。痙攣する身体。痛みに意識を飛ばしそうで、でもその痛みで意識を取り戻しながら、途切れ途切れに言葉を紡ぐ]
[ユリアンとイレーネと、交わされる言葉はよく理解できていない。
力を持ちながら知識は置き去りな半端者には、目の前で起きた事実をただ見て受け入れるしか出来ないのかもしれない。
イレーネの一線がユリアンを襲い、血飛沫が飛んでいくのが見えれば別の意識が擡げた。]
ユリアンっ!
[慌てて、イレーネとフォルカーと距離を取りながらユリアンの割かれた腹を見て―――また後ろに倒れかけた。]
いやいやいやここで寝るな起きろ俺。
でもってしっかりしろユリアン!
[慌ててベットのシーツを引き寄せ、ユリアンの腹を押さえるが、すぐさまシーツは血に染まっていく。]
ボクは───。
[ウェンデルの問いに、声が、聲が、言う]
場を壊したい。
喰らい続けたい。
殺して欲しい。
殺してやりたい。
死の先に、ボクの望みがある────。
[交互に紡ぐ、声と聲。どちらも、自分の望み]
[寄りかかる身体は、確りと支え。
目の前の様子を見つめつつ、小さく息を吐いた]
……それ、聞くかな、この状況で。
[刹那、過ぎるのは、苦笑]
ここで……この村で生まれる音を聴きながら。
星を、見ていたかった。
それは、帰ってこないと、できないだろ?
……ダーヴ…ありがとな。いい加減。血を見て倒れそうになる癖。治せ。
[苦しいのにどこか穏かな口調で、ダーヴに告げながらも、シーツをはねのけ、よろよろと、本当は、フォルカーとイレーネが殺しあうのが見たかった。
という燻る願いを裏切って]
ま、勝てないのは当たり前…狂ったやつは、人狼には勝てない。殺せない。
[よろよろとイレーネの元へと向かう]
僕、は、……レーネの“絶対”を、叶える、って、決めた。
[そう願うことすら、“意思”に反することになるというよう。
途切れ途切れ、喘ぐように息を吐いて、少年は、言う]
レーネ、そんなの――……そんなの、駄目、だ…………っ
そして。狂ってる。俺は。
[よろけるように、ナイフを片手に半ば倒れこむようにイレーネに向かうも、ナイフの行く先はまるで別のところ]
本当に、馬鹿……。
裏切り者に似合いの末路。
ユリさんなら、生きて償う道もあったじゃない。
どうせなら役立って死んで欲しかったけどね。
[息も絶え絶えなユリアンに、声と聲がちぐはぐな言葉を向ける]
場を壊すって、ほかに抜け道、ないんです?
[ユリアンの動きを視線で追って、
尋ねてみるものの、
その手のナイフの動きに、びっくりして視線を向けるばかり]
[肩を掴むハインリヒの手を強引に払って、床を蹴った。
護り手の力は行使せず、刃を手にしたユリアンの腕を引いて、イレーネの間に身を割り込ませようと。
ともすれば見当違いの方向に向いたナイフですら、己の身に当たろうが]
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