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[ハインリヒとウェンデルのやり取りに、僅か、翠を細める]
……もし、俺が生きてあの場にいたら。
ハインリヒさんと同意見……だったな。
[呟くような声は、静かなもの]
どんな事情があっても。
……例え、自らの意思によるものではない、としても。
……自分にとって大切なものを奪われたなら、容易く容認はできない。
[先ほどまでの自分を突き動かしていたのは、血のもたらす衝動もあったけれど。
一番大きかったのは、それだから]
[広間に行こうとして、再度、廊下を通りがかるのは神学生が思考を口にしている頃。
階段を降りきり、その姿を認めると、小さく会釈をした]
[フォルカーが降りてくる。
ぺこり、と少年も会釈を返した。
先程までと違う様子に、少し首を傾げる]
……フォルカー君、だいじょうぶですか?
……はい。
[ウェンデルに目を向けると視界に赤が入り、ゆっくりと逸らした]
すみません。手伝いもしなくて。
[小さく言いながら、進める足は台所へと]
[抱え上げられる、自分の身体。
無茶しやがって、という言葉に過ぎるのは苦笑]
……すみません……でも。
自分に、時間がないのがわかっていたもので。
[出て行くハインリヒたちに、ついて行く猫。
ローザも共に移動していく]
……ごめんな、ユエ……。
[零れたのは、小さな呟き。
いつも近くにいたものへの謝罪は、死の間際にも口にしたもの]
さすがに、ヴェルナー先生のとこに帰すって訳にもいかんだろうし……誰か、面倒見てくれるといいんだが。
僕も、ほとんど何も、していませんから。
[台所へ向かう様子に、瞬く。
数瞬の躊躇。
それから、後を追う。
言葉は特に、かけなかったけれど]
[病の治療を打ち切って帰る、と言い出した自分に、主治医が押し付けた猫。
目付け役だ、と主治医は笑っていた。
定期的に送れ、と言われていた容態管理のノートももう送る術はない。
時に備えて残しておいた幾つかのメモを見つける者があれば、話は別だが]
……悩んでても、仕方ない、か。
俺には、もう、手を出す事はできないんだから。
[小さく呟き。
エルザたちの方を、軽く振り返った後、その場を離れる。
移動しよう、と意識を集中すれば、容易くそれは叶うようで。
その場から消えた姿は、西の崖付近へと現れ、しばしその場に*佇んだ*]
―一階:台所―
[扉を開き、中へと足を踏み入れる。
ウェンデルが後から来ていると知れば、閉めることはしなかった]
何か、口にされますか。
……何があるのかは、分からないですけど。
―台所―
飲み物を。
人数分、用意したほうが良いかと思ってはいます。
食べ物は、わかりませんけど。
簡単なものなら、作れますよ。
[言いながら、視線を棚の方へと向けて]
紅茶とか、ありましたよね。
ミルクとかはあるんでしょうか。
[奥へ行く様子を、棚の前で立ち止まって、見ている]
/*
反骨精神の子、発動(お前。
全員容認方向には流したくないのである(だから。
泡沫系は、どんなエンド方向にも持ってけるから、容認エンドなら容認エンドでおっけーなんだけどね。
しかし、白雪の時みたいな無茶振り要素がないからなあ。
どうなるやら。
……エリザベートさんも、
ローザさんも、
オトせんせいも、
いなくなってしまったから。
みんな、ちゃんと食べてないです、ね。
[水瓶の前で足を止め、中を覗き込む。
まだ、十分にありそうだった]
……ハシェさんは、怖かったですか。
食事、作ってくれていましたしね。
…でも、あっても食べられない気がします。
今は。
[困ったような声音になった。
問われた言葉に、フォルカーから視線を一度、はずした]
怖くないことは、なかったですよ。
人狼のことも。
死っていうことも。
……君のことも。
僕も。
でも、何も食べないと、体に悪いですから。
[笑みは上手く、形作れなかった。
水瓶から視線を外して、ウェンデルに向ける]
……僕は、怖いはずなのに、怖くなかった。
ライヒアルトさんのときも、
“人狼”――……エーリッヒさんの、ときも。
最初は、確かに怖かったのに、あのときは。
……その事が、今は、怖い。
僕は、
……ちゃんと、僕で、いられてますか。
[ろくに知りもしない相手に問うには、滑稽ですらある言葉。発してから口を噤み、ウェンデルを*手伝った*]
そうですね。
食べないと……。
[溜息を吐いて、フォルカーを見る。
視線がかち合って]
……。
ユリアンさんが、言っていました。
そうなる人もいるって。
君は、選ばれた人なんだろうって。
あんな風になるように。
[神に。とは言わなかった。言えなかった]
―少し前・廊下―
[ウェンデルが、珍しいと言ったことに対して僅かに顔を歪める]
あのな、俺は聖人君子じゃねえんだ。
嫌いなやつだっている。
…こいつは、ローザの仇だ。
そして、エルザも…ヘルミーネも、おまえの神様とやらも食ったんだよ。
ああ、自衛団長のじいさんもな。
そしてお空のせんせも…こいつのせいで。
[人狼は他にいないと思っていたから。全てはエーリッヒのせいだと言い切る。
オトフリートはもしかしたら直接は違うのかもしれないが、
揉み合いにならなければ今死ぬことはなかったはずだ。
吐き捨てるように言い、それから墓標まではウェンデルにも、ユリアンにも無言で]
―墓標前―
町のあの辺りは知ってるが、あんまり用のねえ場所だからなぁ。
双子ねぇ。
[ウェンデルがハイムさんについて説明するのを、半分聞き、半分聞き流し。
最後にふうん、と生返事をした。
なぜなら頭の中では、終わった後、何をすべきかと考えをめぐらせていたから。
村長に事情を説明し、酒場のオヤジさんに殴られて…それから、それから―。
戻ると言ったウェンデルはそのまま見送るが、あの二人でできるのかと首をかしげる。
もっとも、人狼の腕を切り落とす…そんな妥協案には頷きもしなかったので
何を言える立場もなかったが]
…俺が行ったら、ずたずたにしちまいかねねえからな。
[見送ったウェンデルの背を見ながら苦笑した。
吐き処を失って消化不良なままの怒りは、胸の裡にくすぶったままだった]
少なくとも、
僕は、今の君を怖いとは思いません。
[見据えて、それから、笑みを作った。
少しまだ、ぎこちないけれど]
エーリッヒさんが、最後までエーリッヒさんだったのと同じように、
君も、ずっと君だと思います。
今そうやって思うということは、君が、君だっていう証拠じゃないでしょうか。
―墓標前―
[ヘルミーネを埋めたその隣に掘った穴に、オトフリートの身体を横たえ、
まだ、ほんのわずか温かさの残る身体に土を被せる。
それは冷たく固くなったそれを埋めるよりも精神的に辛いものがあり―]
…ちゃんと嫁入り、しろよ?
[立てた墓標を見上げながら胸の苦しさに耐えかねて、そんな冗談を言う。
ユリアンがいれば彼ににやりと笑って見せただろう]
―…結局、俺は、まーた嫁入りできなかったわけだ。
[煙草を取り出して火をつけながら、ぼそりと呟いた。
嫁入りどころか、好きな女一人護れやしねえ……。
スコップを手に、見上げた空に*紫煙が揺れた*]
助教授 ハインリヒが「時間を進める」を選択しました。
―台所―
[手伝いをしてくれるフォルカーに、それじゃとお湯を沸かすことを願う。
食料庫の場所を聞き(すぐそばだったが)、じゃがいもを幾つか持ってくると、慣れているとは言いがたいが、危なげはさほどない手つきでむいていく。
言葉は勝手に口から出ていた]
ビーは、こういうの、昔すごく苦手だったんです。
僕と性別が反対だったら良かったのにと、言われていて。
それが嫌だったんでしょうね。今じゃ、髪も長くてお淑やかになってると聞きます。
もう随分と、会ってないんですけどね。
[食べやすい大きさに切って、ボールに移した水に入れていく。
適当に切り終わると、鍋に移して火にかけた。茹で上がっていく音を聞く]
/*
レシュティにしようとかいまさら思い至ったが
食べやすい大きさじゃない
あれはするんだ…!
摩り下ろしなんだ…!
ばかめ。
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