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― 何時かの記憶 ―
―――、……何故、俺の母の
―――……母と知り合ったのですか。
[アーヴァインは微笑む。穏やかに。
胸中を幾つかの問いが巡る。
無言で、部屋の窓から外で遊ぶ子供を見た。
朝駆けの馬からきらきらと零れる
光のような音が弾けている。]
―――息子?
[問いかけて、養子である事を知る。]
―――「蒲公英みたいな子だろう。」
[春になれば、地面に芽吹く黄色い花。
アーヴァインへ音もなく頷く。]
/*
仕事で単純作業してると過去設定が湯水のように湧き出てくるんだ。
不思議だね(
ここへは偶然来て誘いを受けたことになりそう。
前に仕えてたところは、跡目争いに嫌気が差して暇を貰ったことにする予定。
― 回想・生前 ―
[ソフィーのための水を持ちにゆく。
走ることはないけれど、少し急ぎ足。
帰り道、ハーヴェイに居場所を聞いたときには、ふわりと笑って頭を下げた]
はい、ハーヴェイおにいさま。
ありがとうございます。
[それから、その部屋へと行って――>>]
ソフィーおにいさま、大丈夫ですか?
[心配そうに問いかけて、そっと水を差しだして。
少女めいた綺麗な顔を見上げて、笑う様子に、ううん、と首を横に振る]
おにいさま、苦しい時に無理はするものじゃないんです。
ソフィーおにいさまには、心配してくれる皆がいらっしゃいます。
神様だって見ていらっしゃるわ。
わたしじゃ無理だけど、まわりの方に頼るのも、大事だと思います。
[そんな、大人ぶったことを言って。
笑って、大丈夫そうかなと思うと、部屋を辞した]
[夕刻頃。
だからソフィーの死を伝えられて、さあっと血の気が引いた。
部屋の方へと視線を向けて]
どして
ソフィーおにいさまが…?
[また、涙がぼろぼろと落ちていったのは、仕方のないことだったろう]
[そういうものだから、夜も寝られなかった。
たとえお守りを預けてあっても心配で。
もし、誰かが襲われていたら、助けられるんじゃないかって。
そんなことを考えたのもあった。
ウェンディは小さい分、足音も少ない。
人狼たるニーナが他のものに気をとられてでもいたのだろう。
誰の部屋に行こうとしていたのか。
それは人の姿ではないものに、ウェンディには見えていた。
もしニーナの姿形だとしても。
理解してしまったのは、血筋故か]
――!
[声をあげることすらできなかった。
ただ。
ああ、一人は守ったのだと。
かすかに意識をかすめて。
――ひとごろしのくせにと、自分を嘲笑った]
[己らが狂気に現在もむしばまれていると、
双子は気付くことがない。
ふつうだから。正常だから。
ただ一つの部分で育まれた狂気は、大きく育っていたのに。
誰ひとりとして、普通の少女と少年だとしか見えなかった筈だ。
だって、ウェンディは自覚もないのだから。
だってウェンディは普通の少女なのだから。
だってリックは普通の少年であろうとしたのだから。
だってリックはウェンディを守ろうとしたのだから]
― 書庫前 ―
あなたじゃあないわ、オードリーおねえさま。
リックもそれはわかるから、なにもされない、大丈夫。
かなしませてしまって、ごめんなさい。
おねえさまのことを守ろうか、悩んだけれど。
最初がアーヴァインおじさまだったから。
ケネスおじさまが襲われるんじゃないかって思ったの。
ネリーおねえさまが襲われたから、少し悩んだんだけれど。
――ごめんなさい、オードリーおねえさま。
[己の死を嘆く彼女の耳元に、そっと小さく声を落とす。
困ったように笑って、泣かないで、というように頭を撫でるしぐさをして。
それでも慰めの言葉は、どこか静けさを秘める]
わたしはあなたを、守らなかった。
だから、そんな風にくるしまないでくださいな。
わるいのは、人狼、だもの。
ね。
[小さく弧を描く口唇は、血に赤く染まったよう。
そうして、少女の意識は霧散した**]
/*
狂気RPたのしいよう。たのしいよう。
呪いRPを少女グラでやるとはまると思うんだ。
呪わないけど。
悪霊化もしないけど。
だってウェンディにはリックがいるもの、守護霊になるよ!
守護霊=狼探知機の完成である
リックもウェンディもしたたかです。
/*
ウェンディとリックは生きている間は狂気をかくして生きている。
ちなみにリックの認識はウェンディより下。
ウェンディは自分が忘れた振る舞いをしているのを忘れたと信じていると思っている。
逆にウェンディはそんなもの信じてないけど信じたふりしてる。
感情を最初につなげなくしたのはこちらが最初。
バランスが大事
─ →自室 ─
[ハーヴェイを運ぶために階下に転がしたままだった火掻き棒を拾い上げ、そのまま自室へと戻って行く。
火掻き棒を扉傍の壁に立てかけ、首元を緩め上着を脱いだ。
ドレッサーの鏡に自分が映ると、その周囲にタロットカードがちらつくのが見える]
……柄じゃありませんよ。
[鏡に映った正義のカードを払い落とすかのように、顔の横で手を振った。
実際の空間にはないカードの場所に手が通過すると、ちらついていたカードは煙のように掻き消える]
…何を以てJusticeだと言うのでしょうかね。
[それぞれに当てはめられたタロットは、カード自身が勝手に当てはめたもの。
同調が進んだ今、今残る者達全てにカードが纏わりついているのが常に見える。
それは自分も例外ではなかったようだ]
[鏡から視線を外すと、朱に塗れた衣服を全て脱ぎ、新しいものへと着替える。
それからしばらく、ベッドに腰掛け物思いに耽った]
[思い出すのは、初めてこの屋敷に来た時の事。
以前勤めていた屋敷で起きた跡目争いに嫌気が差し、理由をつけて暇を貰い、故郷へ帰る途中にこの屋敷に立ち寄った。
長く続けて身に染み付いた執事としての立ち振る舞いは辞めた後でも抜けることは無く。
その立ち振る舞いから気付いた主に事情を訊ねられ、誘われて、この屋敷で再び執事を務めることになったのだった]
……この屋敷は、とても居心地が良かった。
[勿論大変な時もあったけれど、前の屋敷のような毎日不穏な気配や緊張感を感じることはほとんど無くて。
心穏やかに過ごせることが多かった。
そんな空間が大切で、感じ続けたくて、護りたくて。
時が経つにつれ、その思いは大きくなって行った]
[だからこそ、それを壊したものが許せない。
主を襲った者を、ネリーを喰らった者を、ソフィーを手にかけた者を]
───私の手で、終わらせてみせます。
[これ以上の惨劇が起きぬように。
他の者の手を煩わせないために。
命を落とした者達の仇をとるために。
決意は強く、低く、紡がれた]
─ →屋敷内 ─
[壁に立てかけていた火掻き棒を手に持ち、自室を出る。
先ず向かうのは惨劇が起きた階段。
グレン達が移動した後にその場に現れ、何を為すよりも先に階段に広がる赤を濡れたモップで擦り始めた。
人狼に仕掛けるのはもう少ししてから。
今は大切な想い出のある屋敷についた汚れを熱心に*拭った*]
― 階段・最上段 ―
[オードリーが先に向かった後、
男は小斧を手にゆっくりと立ち上がった。]
結局、お前の手は借りなかったな。
俺に利の薄い話だった。
[囁き声は肉声で。傍らのニーナへと紡ぐ。]
…………。
[これから先、どうするのか。
胸中から滲む感情を持て余す。]
[小斧を左手に持ち替え、右手を見た。
邸外回りの仕事に適した骨張ったがっしりした手だ。]
お前が人間を喰うのを我慢出来たら、
あとは崖に橋が架けられるのを待つだけだが……。
[黒曜石の眸をニーナに滑らせる。
ウェンディを貪るようにしていた獣。
飢えは今どうなっているのか。]
人狼。
お前は、水だったな。
[右手を差し出し、階下へ*誘う*。]
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