人狼物語 ─幻夢─

72 天より落つる月の囁き


修道士 ライヒアルト

─ →集会場 外 ─

……つれてく、から。

[シーツで包む作業が済むと、また、言葉少なく申し出る。
抱え上げた身体は軽い。
立場上、死者に触れる事はここに来る以前にも幾度かあって。
ここに来てからのそれには、何も感じない──感じないように、努めて。
けれど、さすがに、今はそれ無理だな、と。過ぎる思考は、他人事めいたもの。

埋葬の間、特に何かいう事はない。いえない、というのが正しいのは、姉には見て取れるか。
弔いの後、クレメンスが戻っても、その場から動かずにいた。
姉には戻ろう、と促されたけれど、子供のように首を横に振って]

……大丈夫。ちゃんと、戻る。
俺のやるべき事を、やる、から。

[やるべき事。それが何を意味するかは、朱花知る姉には伝わるか。
諌められたとしても聞き入れる事はなく、少し一人にして、と訴えて。
同じくらい頑なにその場に残った茶猫と共に、舞い落ちる白の中に佇んだ]

(34) 2012/01/19(Thu) 08:30:36

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