― 回想/前日廊下 ―[薄れゆく意識の中、名を呼ぶ声とリスの鳴き声が聞こえる。伏せた睫がピクと震え、反応を示した。肩を支えるエーリッヒの腕を感じ、重い瞼を持ち上げる。視点定まらぬ蒼が彼の姿を結ぶのに僅かな間が空く]――…ぁ、…エ、リィ 。[怪我の有無を問われれば亜麻色の髪が微かに揺れて、首を横に振ったのが辛うじて伝う]…………、[何か言おうと淡く開かれたくちびるは音を為せぬまま。彼の腕の中で意識を手放し、部屋まで運ばれる事となる]― 回想/了 ―