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─ 前日/食堂 ─
……確かに、な。
想いの巡りは多用……一概に、どちらが是で非で、とは、言う心算もないが。
[エーリッヒの呟き>>44に、漏らしたのはこんな言葉。
自身もまた影に身を潜めるから、そこの是非は論じる気はなかった]
……汚したくない?
[告げられた言葉>>33に、微かに眉が寄る。
けれど、それ以上の追求は躊躇われたから、何も言わずに、ただ]
……無理は、するなよ。
[短くそれだけを告げて、玉はポケットへ落とし込み。
一度部屋に戻ると、玉の入った袋と横笛を持って、宿を出た。
外に出たなら、当然の如く、団員に呼び止められるが]
……泉に行くだけだよ。
どこにも逃げようなんてないんだから、仕事くらいは普通にやらせろ。
[冷えた翠を向けて淡々と言い切り、それ以上の反論は無視して泉へと向かった。
道の途中──団長が発見された場所では、また引き止められたものの、同じように押し切って。
玉泉までやって来ると、は、と大きく息を吐いた]
─ 前日/玉泉の辺 ─
[ぱしゃり、と音を立てて、玉を収めた袋を泉の水に浸す。
組紐の袋が水の中で揺らめくのを見つつ、巡らせるのは、思考]
……それにしても、やっぱり腑に落ちん、な。
何故、誰も襲わなかったのか……喰らうに満足したのか、殺めすぎて隠れ場所がなくなるのを畏れたか……。
……それとも、単純に、襲える場所にいなかったか。
喰らおうとする本能を拒否した可能性……も、捨て切れん、かな。
[考えられる可能性は複数。
その内、喰らうに満足した、というのは今ひとつ、ピンとこない。
その理由は、食堂でゲルダに答えたものなのだが]
……ったく。
見えるものが多いからこそ、見えるものにだけ惑わされるなって事なんだろうが。
ここまで曖昧だと、さすがに投げたくなるぜ、親父……。
[口をつくのは、愚痴めいた呟き。
見分ける力がある、と言い出したものが二人になったことで、要素は増えて。
それと、自身から見えるもの。
そこから、導き出せる答えは何か、思考は巡る]
最初の旅人の時……は、ちょっと置いといて。
……団長が襲われた時と、ロミが襲われた時。
それから、誰も襲われなかった時。
誰がいて、誰がいなかったか、は、ちょっと把握しておいた方がいいかも知れんな……。
[ここらは、女将かアーベルに聞けばわかるだろう、と、思考に区切りをつけて]
……問題は、どちらが真実を言っているか、か。
[思考が向かうのは、ゲルダとカルメン、二人の事。
伝承や御伽噺でも、同じ力の持ち主が存在した事例は見た事はない。
死者から解を得る者が失われた現状、どちらが真実を告げているのかを見極めるのは重要なのだが]
……………………と、いうかだな。
これって、俺としては非常に、頭の痛い比較なんだが……。
[人と判じられた者たちからの見極めは、色々と頭が痛かった。
しばし考えを巡らせるものの、結局はまとまりつかず。
気を鎮めるべく、横笛を構えて音色を紡ぐ。
洞窟の水音に重なる調べは、異国の子守唄。
父が遺した、遠い血の記憶に纏わる数少ないもの]
……いつか、行ってみたいっていうのは。
叶わない、かな……。
[一頻り、曲を紡いだ所でこんな呟きを漏らし。
泉に浸した袋を引き上げ、宿へと戻る。
戻った先に待ち受けるのが、赤の跡と、ゲルダの死の報せとは知る由もなく。**]
細工師 ライヒアルトは、神学生 ウェンデル を投票先に選びました。
/*
くろねこさん雷の中お疲れ様です。
カルメンから何かあるかなーと思ったけど、時間掛かってるのかしら。
ウェンに返して着替えてこようかしらね。
/*
とりあえず、とっかかりは作ったんで、投票先は暫定ここ合わせ。
つか、守護者視点からの独自考察は。
やると楽しいんだが、纏めるのが辛い。
とはいえ、ここしか取っ掛かりないからね、うん。
情報取得のペース配分見誤ったなあ……。
…ウェン、シーツ、取って来てもらって良いかしら。
あと、タオルも。
[次の行動へ移るための気持ちの切り替えは早かった。
手の甲で滴を拭いながら、ウェンデルに頼みごとをする。
シーツとタオルが届いたなら、広げたシーツにブリジットを横たえ。
彼女の顔についている紅をタオルで拭ってやる。
自分の手もタオルで拭ってから、ブリジットの骸を丁寧にシーツで包んで行った]
……誰か、自衛団に……。
ジティを、家に帰してあげて。
[懇願するような声。
護れなかったと言う意識がエーリッヒを疲弊させる。
誰も自衛団員に近付きたがらなかった場合は後で自分で伝えることにして。
アーベルに断りを入れて湯を借りることにした。
紅がべったりとついたベストはそのまま処分することになる。
顔や手に残った紅が取れるまで、エーリッヒは浴室から出て来ない**]
― 回想/前日廊下 ―
[薄れゆく意識の中、名を呼ぶ声とリスの鳴き声が聞こえる。
伏せた睫がピクと震え、反応を示した。
肩を支えるエーリッヒの腕を感じ、重い瞼を持ち上げる。
視点定まらぬ蒼が彼の姿を結ぶのに僅かな間が空く]
――…ぁ、…エ、リィ 。
[怪我の有無を問われれば
亜麻色の髪が微かに揺れて、首を横に振ったのが辛うじて伝う]
…………、
[何か言おうと淡く開かれたくちびるは音を為せぬまま。
彼の腕の中で意識を手放し、部屋まで運ばれる事となる]
― 回想/了 ―
―宿屋個室―
[僕が死んでしまったことも。
死んでしまったはずなのに、それで僕の存在が終わらなかったことも。
終わらなかった所為で――こうして今、大好きな人の嘆きを見て、聞いてしまっていることも]
……。
[僕はその人を良く知っているはずなのに、こんな表情は今まで見た事がありません。
怒ったり、泣いたり、そんな負の感情と無縁であるはずがないのに、僕の前ではいつも笑って、元気づけてくれました。昨晩>>46だってそうでした。
その見た事のない、見たくなかった表情をさせてしまっているのは、まぎれもなく僕の所為です。
彼の抱く、僕の亡骸の所為です]
[昨晩、彼と一緒に居る時、僕は何かの音を聞きました。
だけど様子を見てくるという彼の言葉に甘えて、自分で確かめに行こうとはしませんでした。
刺繍師さんが居なくなってしまったのを聞いたのは、その後のことです。
自分を庇ってくれた人のことを、結局僕は最後まで信じきることができませんでした]
……。ねえ、
[これはその報いなのでしょうか]
― 翌朝/自室 ―
[いやな夢を見ていたように思う。
ピク、と指先が跳ねて、目を覚ました。
よく知る宿屋の部屋の天井が見えた。
如何して此処で寝ているのか分からなかった]
……?
[分からぬまま、記憶を辿る。
エーリッヒに支えられた一場面が蘇り
如何してそうなったかを続けざまに思い出した。
血に濡れたゲルダの姿が脳裏に浮かぶ。
肌を、肉を、裂いた感触が――]
……、っ。
[ひ、と引き攣る悲鳴染みた音が漏れた。
右手に恐る恐る蒼を向けるが介抱してくれた彼が
拭ってくれたのか、其処に血の色は見当たらない]
エーリィ……
[ごめんねと、もう泣かないでと、僕は言いたかったのです。
でも僕の声が届かないことは知っていました。
届いたところで、僕にそんな事を言う資格が無い事だって知っていました]
……。
[だから僕は、彼の哀しい声から逃れる為に、耳を塞ぎました。
哀しい顔を見ない為に、強く目を瞑りました。
それでも頬を伝う透明な涙は、止まってくれそうにはありませんでした**]
――…ぅ。
[碌に食事をしていない女の胃はからっぽで
酸の気配だけが咽喉にあがりきつく眉間に皺を寄せる]
嗚呼、……殺して、しまった。
[奪った命の重みに苛まれる心。
じわり、蝕まれていくような感覚に眩暈を感じた]
人狼も――…、同じ思いを抱くの?
人を襲って、……如何思うか、なんて……
考える方が、おかしいのかしら……
[残る者の顔を思い浮かべ、ゆる、と首を振った]
[のろのろと起き上がり身支度を整える。
そうして机の前までゆき、席についた。
広げたままのスケッチブックにはノーラの姿。
静かに其れを見詰めてから、ページを捲る。
次ではなく、前へ、遡るかたちとなった]
………。
[薄くひかれた輪郭の線。
ペンを持つ手が少しだけ震える。
様々な可能性が過ぎり、消えて。
それでも今度は最後までペンをはしらせる。
白い紙に描かれたのは隻眼の彼の姿。
その肖像の横に当人が並んでも違いは見当たらないだろう]
[ウェンデルを無実と訴える事も考える。
ゲルダを害してすぐの身で疑われる事が考えられたから
女はそれをなして彼に余計な疑いが掛かるを厭い、止める]
[心身ともに消耗した女の身には
絵を描くという行為一つにも酷く疲れを感じる。
無理をするなとライヒアルト>>62が言うを思い出し
女は微かな苦笑を漏らし、ペンを置いた。
ブリジットの部屋から聞こえる悲鳴>>58
彼女の名を呼ぶ叫びに聞き覚えがあり、女は部屋を出る。
ウェンデルがエーリッヒへと声掛ける>>60が聞こえた]
エリィ……、ウェン……。
[二人の名を紡ぎ、動けずにいれば
シーツとタオルを求めるエーリッヒの声>>67が届いて]
……私が借りてくるわ。
[二人に断りを入れてからリネンを取りに向かう。
白いシーツとタオルを抱えて戻れば
其れをエーリッヒへと渡した**]
彫刻師 カルメンが「時間を進める」を選択しました。
彫刻師 カルメンは、交易商 ミリィ を投票先に選びました。
─ 前日/宿屋 ─
……何があった。
[泉から戻った宿はざわめきの内。
動いている自衛団員に短く問えば、知らされるのはゲルダの死。
それが、誰の手によるものかを聞くと、ため息が落ちた。
仮にその場にいたとしても、止める事はできなかっただろう。
疑にも信にも寄れぬままにいたから。
だから言葉を紡ぐ事はせず。
ただ、伏した翠に悼む色を乗せるに止めた]
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