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失ったものを諦めろと、
過去の己に死ねと?
[成れぬ翼は動きを阻害する]
[そして、複数を同時に操作する事は困難で]
" fblO'. "
[粒子の粒と化して失せる背の鋼]
[同時に、]
[引き戻そうとする時竜へと接近して]
" jcf, Gg#cs#, l#M'coc. "
[ヂ、][火花]
[一度引いた腕を]
[空いた右側へと突き出す]
[獣の爪で貫かんと]
[けれど、足の枷に阻害されたその動きは僅か遅れて]
−中央塔下部:ファクトリーエリア−
[『器』たる機鋼の竜]
[『魂』なきそれは今、同調に従って動くのみで]
[彼の命令が無ければ何もせぬはずで]
[けれど、火炎の竜に触れられて]
[薄く開いた眸][移ろう空の青]
[天空より、雷鳴が轟き、稲妻が奔る]
[その雷光を身に受けて、紫電の閃き…現れるは、黒き獣…否、集いて闇に近付きし紫黒の雷光を纏う、白き雷獣の姿]
さあて、ね!
消し去るのが正しいのか、正しくねぇのか、そんなのは俺の預かり知らん事だが。
過去に囚われている間にも、螺旋は巡る、時は進む。
その間に、新たなものが得られる。
消えたものと、それと。どっちに価値があるかってこったろ!
手が届くかもわかんねぇものと、手を伸ばせば掴めるものと。
二つ、あるなら、掴めるものの方がいいんじゃねぇかってだけだ!
[叫びは目の前の彼へ。
しかし、同時に自分自身にも向くだろうか]
[繰り出される、獣の爪。
妨げもあってか、直撃には至らぬものの、鋭いそれが脇を掠めるのは否めず。
時をかけて癒した傷、その上に新たな傷が刻まれる]
……ちっ!
[舌打ち一つ。光鎖は戻った。とっさに長さを詰めたそれを、青年の背へ向けて叩きつけるよに振り下ろす]
うん、私も頑張る。
[少年に頷きを返し、その力に自分の中で均した力を寄せる。
聖なる力に支えられ、機鋼界での均衡を。
在るべき姿に出来うる限り近づけようと。
大きく轟いた雷鳴に一瞬だけ身を竦めてしまったのは、支えてくれる麒麟にだけ伝わってしまったかも。
それでもしっかりと目を開いて。
じっと繰り広げられる光景を見つめながら]
価値?
己が消えて、新たな誰かに変わってとられて。
其処に価値など見出せるか。
その弁は、己が在るからこそ言える事だ!
[“己”と、“誰か”。]
[それが、何を指すかは理解されまいか]
[半ば懐に潜り込みかけた体勢では、]
[背後より迫る一撃を避けるは叶わず]
[咄嗟に半身を捻り、]
[向かい来る鎖へと左腕を突き出す]
[弾くまでは出来ずとも、]
[背への直撃を和らげようと]
[左手首の枷から伸びる鎖が、弧を描く。]
「大丈夫」
[息を飲むナターリエの様子に。
界の均衡を支えつつ、セレスは小さな呟きを]
「時空竜、ボクと約束した。『死なない』って」
[だから、大丈夫、と。声は凛と、迷いや恐れはなく]
[雷獣は、その足で屋根を蹴る。真に雷光の速さで、野を駆け抜け、争う二人の元へ。三本の黄金の尾は、野に奔る稲妻の閃きにも見えたか]
−中央塔下部:ファクトリーエリア−
[ぱち、][ぱちぱち。]
[幾度となく、瞬いて]
[コードに繋がれた竜の体躯]
[緩く首を傾げようと]
[けれど、傾げかけた首は]
[上手く動く事は叶わずに]
<< ? 何、これ。 >>
[自分に纏わりつくコードを訝る]
[けれど、]
[撫ぜられる感覚にか、][眼を細む。]
[愛し仔の呟きに私は刹那、瞳を揺らす。
「死なない」
その決意は、逆を返せばそれすらも覚悟して臨むという事]
[なれど、迷い恐れなき凛とせし声に、菫青石の瞳には力が戻る。
時の竜が、約束を違えはしないと信じるが故に]
だぁーから! なんでそこで、『取って代わられる』って方にしかいかねぇんだよ!?
過去があろうがなかろうが、そこにいるのは『自分』じゃねぇか!
そうやって自分自身を否定してたら、先になんざ進めねぇだろっての!
機鋼は『創造』……新たなものを創り出す。
だが、本質までは作り変えやしねぇんじゃねぇかっ!?
[苛立ちを帯びた声。
その苛立ちは、どこかかみ合わない理論に向くか]
[光鎖に向けられる鎖。
二つは交差し、勢いは削がれ、黒の一閃は肩を掠めるに留まるか。
いずれにしろ、懐に飛び込まれた状況は不利、と。
翼の力も利用して、大きく後ろへ跳び、距離を強引に開ける]
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