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[ヒュ、と息を呑んだ。
けれどパニックに至らずに済んだのは。
絶妙なタイミングで対ならぬ対が目覚めてくれたからかもしれない]
タバコの代わりにタバスコ?!
一字違い?!
[ダーヴィットの言葉には、驚いて声をあげつつも半分程減ったタバスコの瓶を差し出す。
ティルの説明には]
ええと…
ねこがまっしぐらに直行?
[少しときめいた。]
[タイで止血をして、しっかりと座りなおす。
息を吐いて、声を聴こうとしたとき、それが届かないことを知った。]
[結界の向こうを見る。
大丈夫だろうかと。]
[すぐに痛みに、歯を食いしばることになるのだが。]
[ザムエルらを攻撃していたのがオティーリエなのは分かっていた。
だが、その当人が居ない。
周囲を見回すも姿は見当たらず。
アーベルの邪魔にはなるかと思ったが、そうも言っていられなかった。]
オティーリエ!何処だ、無事か!
[名を呼ぶが、答えは返るか。]
ならぬ……。
儂はお誓い申し上げたのじゃ…!
この身滅ぶとも、命尽きるとも剣を護り抜くと…!
[精神の力が増大す。これによりアーベルは手を貸していないと言うことに気付くこととなろうか。添えるアーベルの手を振り払い、その場から離れる]
お主、何を考えておる…!
[ノーラが消えたことには気付いていない。それ故に力の増大はアーベルが送り込んだものであると判じ。額のバンダナが汗で滲む。右手で腕輪を抑え込んだまま、更に強制力を働かせようと念じた]
[伸ばした心の力は流水の竜には届かず、天青石の光の網が逆に絡み付いた。その主の瞳へとレンズの奥の紫紺が流れた刹那、唐突に心の力は消え失せる]
――…仔竜と侮っていたら、そうくるとはね。
[微かに垣間見たのは守ろうとする強い想いと機鋼の一族に連なる何か。恐らくはそれが目に見えず触れえぬはずの心の力を押さえ込んだのだと理解する。
けれど、それ以上動けない様子の仔竜よりも青年がすべき事は]
貴方では抑えるのは無理ですよ。
[押さえ込もうと呻く大地の老竜へと毒のように囁き、添えるのではなく奪う為に両手を腕輪に伸ばす]
いや、ねこがまっしぐらに向かったってのは、例えだってば。
[ミリィの言葉に、律儀に突っ込んで]
まっぷたつって、なんでそーなんの!?
[火炎の竜にも、突っ込み一丁]
まあ、真面目なとこ。
考えられるのは、揺らされた連中の誰かをロックオン成功した、ってとこだと思う。
[無機の心、無機の命…腐食して崩れかかった左腕を伸ばす…対なるは、有機の心、有機の命]
やめてください、アーベルさん…
[悲しみは、有機の心には伝わらないか?]
中:
あれ、心話できないんだっけ?<墓入りしたら
移動不可とは書いてたけどはて。
まぁ先墓入った人が好きにすればいいのかなwww
― 東殿・回廊の何処か ―
< 荒れる息を吐き出した。
場所は確りと判別出来ないものの、喧騒は遠い。
灯りの傍ら、壁に背を凭れた。
揺らぎは収まらず、薄闇を照らす焔の揺らめきに似る >
[回廊へと出でて直ぐに、仔は闇竜殿の姿を捜すべく視線を巡らせる。]
…、ノーラ?
[回廊を進む先、見覚えのある影の姿にその歩みを速めた。
芽生えた新緑の萎れる速度が前に増して遅くなったのは、首飾りに流水の気を纏いし故か。
成長を促す糧となった其れは、仔の辿りし跡を色濃く残す。]
[ゾクリとする感覚がなんなのかはナターリエには分からなかった。
だが、その後の精神の言葉を聞きつけると]
―――精神!
もしや、貴方がもう一人の―――『揺らされたもの』!?
[答えを聞くよりも早く、アーベルはザムエルの元へと移動する]
やめ―――
[それと同時に聞こえるのは、クレメンスの言葉。
また厄介なのが登場したと思い、視線をそちらに向け……氷の存在に気づいた]
……氷の!
[叫びながらも、一瞬迷った。
月と生命と一緒にいた氷を信じてよいものか。
だが、月。それから、精神が『揺らされたもの』だとするのならば、昨日あの場にいたとしても、完全にあちら側ではないのかも知れないと思うと、その後の言葉を続ける]
……ブリジット!
『力ある剣』が暴走しようとしています!
もしも、貴方が揺らされていないのならば……その封印の力を持ってして、大地の手助けをお願い!
虚竜王の不機嫌が、こちらへ「揺らされたもの」を呼び込んだ。
と、言うことでしょうか?
[真面目に、くいと眼鏡をあげて
周りの竜達を見渡して、言葉を紡いだ。]
[無理に立ち上がるのはやめようと、聞こえぬこえを聞く努力はしなかった。]
[そっと結界に手を伸ばすけれど、ぱちりと音を出して弾かれる。]
[指先に血が滲んで、手を下ろした。]
[意識が闇に塗りつぶされたように――落ちて**]
[大地の老竜の叫びに青年は常より何処か冷たい笑みを返す]
――『願い』を叶えようとしているだけです。
[もう一度、奪う為に伸ばそうとした手は、対なる無機の心と命に引き止められた。心凍らせても届く痛みに感じた哀しみとそれは共振したかのように青年へと響く]
もう、やめられない。
やめられるくらいなら、最初から――…
[レンズの奥の紫紺に何かが過ぎり、けれど言葉と逆に後ろへと下がって――…言い終える事なく*姿を消した*]
リーチェ?
< 名を呼ぶ声すら、軸はなく頼りない。
灯りの下に薄っすら浮かぶのは、少女の姿だけではなく、後に続く草花。会ったばかりの時には枯れていた筈のそれが、一時その生命を永らえているのを見た。
抑えた手の下でも、光が揺らめく >
ええ、はい。
それが一番ありえそうですね。
[何度か深呼吸を繰り返し、心を落ち着けて。
ティルやミリィの言葉に頷きながら、目を閉じた]
(――でも。無い)
[ならば月闇の竜ではないのだろうか。
それとも誰かに手渡したのだろうか]
―東殿・回廊―
……ッ、この力は、一体……!?
[目の前で、目まぐるしい力の渦が、場を支配しているかのようだった。
その元は、老地竜の腕の辺りにあるようで。
命竜は言っていた。ザムエルが剣の主と。それが今、暴走しているのだろうか?]
アーベル……!?
それに、ナターリエ……ッ、一体何がどうなっているのッ!?
[声は力場の所為で、微かに聞こえ辛く成っていたが。
流水竜の叫ぶような声が、心に直接届いたのか。
ブリジットは、弾かれるように老地竜の元へと駆けていった]
喩え無理だとしても……抑えねばなるまい…!
何もせぬは、暴走を許して終わってしまう…!
[アーベルからの毒のごとき囁き。それに怯むことなく返す。削られる己が精神。それが削られ切れば、次に削られるは──生命力。文字通り、命をかけて抑え込むつもりだ]
…『願い』…とは…。
[問いの答え。それははきとした答えのようで、曖昧なもの。訊ぬ声は、強制力の発動の疲れにより途切れ、小さなもので。相手に届いたかまでは定かではない。
ふらり、視界が揺れる。床に座り込むことになったが、腕輪に添えられた右手が外れることは無い]
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