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─道具屋─
[ベッティの挙動をじっと見、紡がれる言葉を黙って聞く。『刻』がどんなものなのか、人が消えて行くことに対する覚悟が出来ていた自分は比較的に容易に事実を受け止めて来れたけれど。目の前の少女はそうも行くはずもなく。ぎこちない笑みに悲しげな表情を浮かべた]
うん……そう、だよな。
もう何人も消えてしまった。
でも、さ。
悲しい時は、泣きたい時は、我慢しなくて良いと思うよ。
溜め込んでるものを全部出してしまうと良い。
[以前ベッティが泣いた時にしたように、その頭に手を伸ばし撫でようとする。ベッティ程思い詰めていない自分に彼女の心情を理解し切ることは出来なかったけれど、その負担を少しでも減じたいと、そう願って]
その分だけ、ゲルダに好きだって、忘れられなくなるように。
[胸中に呟く言葉、どこにも落ちることはない自分の胸にだけ落ちる言葉]
[それから、ユリアンの話を聞いて、
それも、ひと段落した頃か。]
…ユーディ。
[友人の名前を呼んで、手招く。]
……さっき。居合わせた、と、言っただろう?
[やはり主語のないままで。
消えた人の事を、尋ねる。]
──どんなだったか。と、
聞いてもいいかね。
[聞いた処で。どうしようもないことだったかもしれないけれど。それでも、消えた時の事を知りたくて、居合わせていた、というユーディに、こっそりとそんな話を尋ねた。]
…うん、ありがと。
[ゼルの言葉に、少し切なそうな色を浮かべるもすぐに微笑んだ。
続いた言葉には、そんなことないよ、と。]
ゼルは自分を、悪く言い過ぎ。
あたしは、好きになったの、ゼルで良かった。
返事のないラブレター、送ってるみたいだ。
[ぽつりと呟くコエ]
誰かに聞かれたら、ますます変な人、だな。
[ミハエルに、語った後、わずかな時の間のコエ、その返事が返る前のこと。
自分が変わった大きなきっかけはきっとゲルダで、そしてそれによって悲しむ事が増えても、恨むつもりはなく、送るのは*感謝の言葉*]
/*
(ごろんごろん
多分正しく意図を読めていない気がする。
返答に時間食ってすんませ…!
ライト思考冷静系にするとこう言う説得場面で言葉に悩む。
直情馬鹿だと「辛いのはお前だけじゃねぇんだよ!!」とか出来るのにね。
…そんな風に見えてたんだ。
[とても悲しんでいたというもう一人に、自分が消える直前の事を思い出す。
知らなかった『死神』のことを教えてもらった。
死神が他者を刈る者だというのは、その前に聞いていたけれど。
死神が宿主をも刈るかもしれない、という事は、あの時初めて聞いて。
それでも生きていて欲しいという、切な願いも耳を通り過ぎて。
一人で取り残される可能性が。
怖かった。
怖くて仕方が無かった。
そんな折れかけた心は、死神に耐えられなかった。
だから、悪いのは自分なんだと、そう思っている。今も。]
こちらこそ、……ありがとう。
とでも言うべきところか、ここは。
[言葉に対して素直に礼を述べる時には、どうしても間が空きがちだった。
それから]
……少し、戻ったな。
[外していた視線を、漸くイレーネに向けた]
─道具屋─
[エーリッヒの悲しげな表情に、視線が泳ぎ。]
…………ごめん。変なこと、言い出しちゃって。
[目を伏せ、謝罪の言葉を呟いた。
続く言葉には、暫しちらちらエーリッヒの様子を窺っていたが、]
だったら……ごめん、ちょっと向こう向いてて。
[そう言って、エーリッヒの背後の方を指差す。
それにエーリッヒが従ったとしたら、エーリッヒの背後から手を回し、腰に抱きつく。]
……ごめんね。泣き顔は、もう、見せたくないから、さ。
[そう言って、落ち着くまで、ぽつぽつと思うことや心情を背中越しに呟いていただろう。
結果として、泣き顔を見せたり、泣き喚く様子を聞かせるということはなかった。
落ち着いたあとは、戻るなりどこか行くなり、とりあえずエーリッヒに付き従っていくだろう。]
そんなこと、あたしに聞かないでよ。
[さすがに気恥ずかしくて、少し赤くなりながら苦笑して。
ゼルがこちらに視線を戻して言った言葉には、一瞬息を飲んで。
まだぎこちないものの、いつものように微笑んだ]
…うん。
─道具屋─
[謝罪にはふるりと首を横に振る。心情を理解してやれない申し訳なさもあった]
え、ああ、うん。
[後ろを向けと言われ、言われるままにベッティに背を向ける。腰に抱き付かれると少し驚きを見せるが、振り返ることはせず。ベッティの気が済むまで語られる言葉に耳を傾けた。時折相槌を打ったりもしたことだろう。ベッティが落ち着いたなら]
一旦ユリアンの家に戻ろう。
ユーディットやミハエルも心配してるだろうから。
[ね?と提案して。返答を聞いたなら、ベッティを連れてユリアンの家へ戻ることに*なるか*]
そいつは悪かった。
[あまり謝意の籠っていない謝罪の後で]
ああ、そっちがいい。
[ぎこちない微笑みに、一つ頷いた]
まぁ、あれだな。
しょうがねぇから、完治まで付き合ってやるよ。
治療は薬師の役目だし。
[軽口めいて言う唇には微かな笑みが乗っていた]
[それからふ、と常の表情に戻り]
それはそうと、
会いに行かなくていいのか?
レナーテに。
[今し方ベッティとエーリッヒが出て行った扉に目をやり。
恐らくは同じ存在と化している筈の、彼女の兄の名を*上げた*]
/*
墓落ちしたら更に返信遅くなってないですか俺。
しかも眠くて色々むちゃくちゃかも知れない。
ごめんよイレーネ。
今回ゼルが色々アレだけども、中身はキュンキュンしています。
悪いと思ってないでしょ?
って…っ。
[溜め息混じりにそう言ったものの、次の言葉にはきょとんとした後赤くなって。
更に続いて言われたことにはなんと言えば良いのかわからない表情になった。]
そんなこと、言われたら。
…治したく、なくなる。
[普段みることのない笑みも相俟って真っ赤になりながら小さく呟くも、すぐにいつも通りに戻ったゼルから言われた言葉に目を伏せた]
…うん。
もう少し、時間が欲しい。
あたし、すごく泣いちゃったから。
[きっと兄はあの時傍にいてくれただろう。
どれだけ心を痛ませただろう、まだ兄に面と向かって謝る勇気がなかった]
ゼルこそ、良いの?
[そう、彼に向かって首を*傾げた*]
―――――っ。
[声なき声は、会話の合間に落とされて、身が強張る。
見上げるが、決して交わらない視線が、こちらを捉える事はない。
それなのに。
まるで知られているように。
届く言葉は、突き刺さる。]
ど、して…。
[呟きは震えてしまい。
後ずさり、体を掻き抱いた。]
……呼ばないで。
[名前を、想いを。
返せないのに一方的に。]
お願いだから…。
[もう、忘れてと。
目を逸らし、泣きそうな顔で呟いた。
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