6 箱庭―in the miniascape―
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教師 オトフリート
[
彼がアーベルの死を見て何を思ったのか、
彼がアーベルの死に何故悲しみを滲ませたのか、
彼が先程何の言葉を飲み込んだのか、
彼にその声は届かない。
]
ランプ屋 イレーネ
ぅ･･･っ
[左腕に向けられた刃はかわしきれず。
痛みが走る一瞬あとに、血が流れ出した]
安堵、なんて、そんなものじゃ、ない･･･あたしが、ほしいのは･･･
[呟くように言って。
それでも目は、鋭く相手を捉え続ける。
ほとんど水平の線を描いて、ナタを振るった]
――angelaって、誰？
[喉を狙いながらの質問は、矛盾しているだろう]
教師 オトフリート
[「強き力を持つ者」の血の匂い。
彼女の左腕からそれが噴き出すと、口の片側を吊り上げる。
此方を見る鋭い視線も、嬉しそうに受け止めた。]
[水平に振るわれる彼女の左手を右手で、彼の目の前で捕まえんと構える。
左手をくんと動かすと、彼の左手にナイフが握られた。
彼女の左手を捕らえれば、例えナタの勢いを殺しきれずとも躊躇なく、それで切りつける算段だ]
――angela。
それは、
[ふと顔が慈愛に満ちて]
ランプ屋 イレーネ
[オトフリートの嬉しそうな顔にも、構わず、ナタを振り切ろうと。
しかしそれは肩の薄皮を切るに止まっただろうか。
左手が捉えられ、動かせない。
鮮血が、噴き出た]
あっ･･･あぁあっ！は･･･
[相手の肩に付けた傷を、右手の爪で必死にえぐり、逃れようと]
ランプ屋 イレーネ
［あたしに馴染んだのは、ランプを作ってる時の、沈黙だけ。
そしてランプだけが、唯一の人との繋がりだった］
『大切なものは命。
見つけるために。仲間を見つけるために。
あたしたちは淋しくて。とても淋しくて。不安で。
でも人には馴染めなくて。だからずっと探して』
[本能の、声がする。
では、「あたし」は？
本能に左右されない、「あたし」の大切な、ものは？］
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