人狼物語 ─幻夢─

80 夜天銀月


鍛冶師 アーベル

―嵐の前―

[依頼人である老紳士を見送って
鍛冶師である男は革手袋した利き手で後ろ頭を掻いた]

スティレットに野葡萄、かぁ。

[今度成人を迎える孫への贈り物だと彼は言っていた。
彼の家は確か剣の名手を多く輩出していると記憶している。
どうして長剣でなく短剣、しかもとどめを刺すに用いる物を
わざわざ選んだのかを考えて小さな吐息が漏れた]

――…そういえば、

[陳列棚の前まで歩み、しゃがむ。
棚の奥に手を伸ばし引き出すのは依頼品と同じ短剣]

親父、これ覚えてる?
俺が初めて一人で打った剣だけど――…

(827) 2013/01/17(Thu) 22:12:41

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