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…古傷開いたんだっての。
そこだけ生命力巡んなくなってるから、簡単には塞がらないんだよなぁ…
[一枚足りない三枚翼をぱたり。]
[その古傷のことは、兄達のメモリーの中にも有り]
人のこと言えないじゃんか!俺抱えて動いたりしてっ!
無理ばっか…
[そーだ、と思いついた顔で、案ずる様子でこちらを見ている雷竜を振り向いた]
この馬鹿が、また無理しそうになったら、雷撃で眠らせちゃってください!
[いや、たぶん、自分が先]
[ティルの言葉にふむ、と頷いてくっと拳を握り締める。]
そうですね。
何か手が無いか…比較的元気な私が走り回るのが良いと思います。
[ゴゴゴゴと効果音を出しつつパリパリと音を立てた。
それから眼鏡の奥の濃紅で回りを見渡した]
[クレメンスがオティーリエへ何を抱いていたかを、茶を啜る青年が気付いていたかは窺えない。
ただ、生命の竜の穏やかな笑みを見る眼差しは、凪いでいた]
[風竜の提案には頷いて]
俺は、さすがに剣を探し回るってのは無理そうですから、結界を調べてみます。
[幸いメモリーとの接続は生きている。更に結界の維持者が対である精神と判った今なら、何か新しい手段が考えつけるかもしれないと、そう言った]
[エーリッヒの言葉と、ダーヴィットの言葉が耳に入ると
至極真面目な顔で]
えぇ、貴方に限らずそうしましょうか。
[深く頷いた。]
別に無理なんかしてないんだけどなぁ。
やれる事やれる範囲でやってるだけで。
[それが無理だと(略)]
まぁ、俺も探ってみるさね。
[小さな灯火を偵察に。]
/*
あぁ、村側動き出してくれて良かった。
でもオティーリエに墓下の負荷掛け捲りでごめんなさい。
会いたいけど、ラスボスは地上で踏ん張るべきだと思うのです。
―東殿/どこかの部屋―
[茶を飲み終えた後、生命竜が回復に努めるのと同様、青年も体を横にせぬまま浅い眠りについていた。
腕輪は今のところ所有者である青年を苛む事はなく、沈黙を保っている。それは精神と影輝のニ者が共にある為だろう]
――…そろそろ、動けるかな。
[二つの剣を一つにする為に、まずは邪魔をする力を持つ者を排除する必要があると寝台から降り立つ。上体が少しふら付いたが、壁に手を付く事なく姿勢を正した]
私も何か無いか探してみますね。
[探知等が使えないのが歯がゆいが、そういって手をこまねいて居るつもりは無い。
誰か共にか一人かは周りの竜にまかせ、廊下から歩き中庭へと出た。]
―中庭―
―中庭―
[うすらと漂う水の気配、水鏡が外の様子を写し出す。
暫しの間見つめ手を伸ばせば生れ広がり消える波紋。]
ここは外と通じていたり…しないのでしょうか。
[思うは言葉となって口唇から零れる。]
[そうして、浅い眠りの内に判断した自身の状態を手短に伝える]
剣と共に結界へ入るのは、今は無理のようです。
中でバランスを崩したら結界が弾けかねません。
ですから――…私の代わりにオティーリエを頼みます。
[彼女は無理をするから、と哀しげな眼差しで微かな笑みを浮かべ]
剣を手に迎えに行きたかったのだけれどね。
怪我をしたら呼びますから、それまでは彼女と剣を。
[頼みます、と信頼の心を寄せて前を向く]
二つの剣を――…一つにする為に。
[秘なる書の青年は禁じられた知識と、かつての友から覗き見た秘密を引き出していく。二つの竜王。天聖と影輝。
十五竜王は結界の中に、ならば代理の、または新たな――…]
探さなくてはな、エレオノーレ殿を。
[足元には*影*]
―回想―
御師様が…。
はい、先にそちらですね。
[掛けられた言葉に逸る心は一時鎮まる。
神斬剣は聖魔剣と違い、個としての意識を投じてはこなかった。
つまりそれは、何かあればより直裁的な力となって動くはずで。
それだけ負荷の掛かり方も大きそうだった]
―回想―
[案の定、食堂に寝かされていたザムエルは精神的にもかなり磨耗した様子で。それが心竜に掛けられた呪を振り払うためでもあったのだとは知れなかっただろうが]
…私ではここまでしか。
[初歩の治癒術では血止めをするのが精一杯というところ。
後は少しでも回復力が上がるように力を注ぎ込む程度しか出来なかった。それも命竜のそれとは異なり、どこまでもゆっくりとしたものでしかなく]
気付かれましたか、御師様。
はい、状況は…。
[ティルと一緒に説明をした。
剣が二振りともに相手側の手にあることを知ったザムエルが強引とも見れる方法で傷を塞ぐのを見、少しばかり悄然となってしまうのは止められなかった]
―回想―
[ギュンターの所にゆくというティルにはついていこうとしたのだが。少しばかり状態が追いつかなかった]
…もう少し、ここで休んでから。
それから私は剣を探してみます。
[隠されているだろうそれを見つけ出すのは、たとえまだ結界内にあってもそう容易いことではないだろうが]
私は私の出来ることを。
何か分かったら教えてください。
[ザムエルから送られただろう視線には、あえて沈黙を返す。
そう、本当は「動けない」のが正解だった。ザムエルが落ち着いたのを見て、少しばかり安堵してしまったがために。
過剰な力は身体に負担を掛ける。今は酷く「疲れやすい」状態で。それでも口には出さなかった。出せば心配をかけるだろうし、階上へと向かう相手など怒りもするだろうから]
─西殿・廊下─
[それぞれ動き出す面々を見送り。
さて、自分はどうするか、と考えて]
んー……。
オレの力は、起きた事を感知する、方。
積極的に探すには、むかねぇよなぁ。
あ、てゆーか。
今の話、爺ちゃんたちにもしとかねぇとヤバイか。
[二人はまだ食堂にいるだろうか、と考えつつ、そちらへと足を向ける]
―回想―
[エーリッヒ達の話を聞けたのはいつだろう。
聞いたのは彼らが動き出した後で。心配ではあったけれどその邪魔をしないようにを先に心がけた]
[そして自分は。剣に向かって何度も「声を掛け続け」た。
少しでも反応を引き出すことが出来ないかと。届く可能性が低いことは承知の上で、それでも諦めずに]
―回想終了―
[何度目かの休息の後。
今もまた、目を閉じて意識を澄ませて声ならぬ声を紡ぐ]
─西殿・食堂─
[食堂に戻り、状況を話して。
探査を試みるというエルザの邪魔をしないように、出て行こうとしたものの。
八つ当たりの後遺症が出たか、やや、足元が覚束なく。
……そんな状態で外に出してもらえるというのはさすがになく。
しばし、そこで休息を取る事となった。
実際、きつかったのは本当で。
どのくらい眠っていたかは自分でもわからなかったものの]
……ふわ……。
[目覚めて最初に目に入ったのは、眠る前と同じように意識を澄ませるエルザの姿]
[あの部屋に人は来ない。
ばさりと蝙蝠がはばたいた。]
―地下室―
[と、先ほどまでは反応しなかった首飾りが、かすかに熱を帯びた。]
[まどろみの中から、一気に覚醒する。
逃げ場は無いわけで。]
――まだ平気でしょうかね?
[快調には程遠いけれど。
そばの闇を、そっと掴んだ。]
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