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─ユリアン宅─
ははは……これじゃ最初と逆だな。
[尚の反論には少し困ったように。もう一度ユーディットの頭を撫でて、不意にその手がぴたりと止まった]
え。
おい、ちょ…!
[歓喜に満ちた声が突然響いた。それは他の者にも聞こえたことだろう。自分の身体から『死神』が離れて行くのを感じる]
っ───!
……華が、咲くだって?
『刻』を越えた、ってことなのか?
けど、誰も消えて───まさか。
[今ここに居ないのは、ユリアンだけ。彼には『刈り手』が憑いている。『周期』の終わりが告げられたと言うことは、つまり]
ユリアン────。
[名を紡いで、他の者へと視線を巡らせた]
[ユリアンが席を外すを視線で追いかけて、席を立つ。
嫌な──予感がしたわけでもなく、ただ、なんとなく。]
ユ…
[乾燥小屋の中に追いかけて入り、
声を掛けかけて、
けれど]
…リ、アン?
[──その背中を見る事ができたのは、ほんの一瞬の出来事]
[声はなく、
目を大きく開いて、
口を噤む。]
………、…。
[周りを見回して、]
……─────、
[気づくのは。
消えるときの為に。
きちんと、整理のされた小屋の風景。]
だって……。
[心配は心配、と。
言いかけた言葉は、不意の声に途切れる]
え……な、に、今の?
[きょとり、と一つ瞬いて]
花が咲く、って、『周期』の花、が?
ええと、ええと……。
[それが意味する事を整理しようとした所に、紡がれた、名。
もう一度、瞬く]
……リアにい、が?
[今だけ、語るべき声を呑みこんで、
──あのときのように、泣くことも、
暴れだすこともしなかったけれど。
ひとつ。
目につくものがあって、
ゆっくりそれに近づいた。]
…、「美人髪」
[自分がつけて、ユリアンが選んだ名前の札に指で触れて]
─ユリアン宅─
[お茶を啜っていると、突如空間に響く歓喜に満ちた声。
突然のことに思わずむせて、げほげほと咳をする。]
げほっ……い、今のって。しかも『華]…………それって。
……まさかっ!?
[続いたエーリッヒの告げた名前は、その予感が当たっているということを示唆して。]
……俺に憑いてた、『死神』。
華を見る為だけに現れたらしいんだが…。
[瞬くユーディットに、告げていなかった事実を打ち明け。『周期』の華、と言われると頷きを返す]
アイツが、俺に憑いてた『死神』が離れたってことは、『刻』を越えたと言うこと。
つまり、『刈り手』たる『死神』もまた、消えた、はず。
だから───。
[そこまで言って、言葉は途切れた。何を意味するかは伝わったことだろう]
[『死神』が離れる直前、ミハエルがユリアンの後を追ったな、と思い出して]
俺は、ミハエルの様子を見てから外に続く扉の所に行ってみようと思うけど。
二人はどうする?
[立ち上がりながら問いを二人に向けた]
……『死神』、憑いてた、って……。
[やっぱり大変だったんじゃないか、という言葉はひとまず飲み込んで]
刈り手がいなくなった……って、事は。
リアにい……。
[それが意味する所は、すぐに悟れて。
ほんの少し、眉が下がる、けれど]
ディも、行くよ。
ミィも心配だし、それに……見てみたい、もん。
[問いに対する答えは、しっかりとした声で紡がれて]
[最後に消えた、ほのかに残る光のような残滓。
それは札を撫でるミハエルの横を過ぎ、小屋の外の方へと。
その姿を追うことがあるのならば、村の出口、その戸の方へと向かうのが見えるだろうか]
「華だ」
「咲くぞ、華が!」
[エーリッヒ達が聞いた声が聞こえるのはその頃、
花へと通じる戸は、最後の贄をもって、*開かれた*]
─ユリアン宅─
[エーリッヒの語るところをジッと真剣な目で見つめていたが、]
…………そう、なんだ。
[僅か目を伏せ、そう呟く。
だが、エーリッヒの提案に再び顔を上げ、]
……わかった。わたしも行く。
見届けることが、残されたわたしの使命なのかもしれないから。
[しっかりとした声で答えた。]
[ユーディットが繰り返す言葉には、ごめん、と言うように苦笑を漏らし]
うん、それじゃあ行こうか。
[二人から返答を貰えば共に外へと向かう。外へ出たところでミハエルと行き合うことになるだろうか]
ミハエル。
……大丈夫か?
[消えるのを見てしまったのでは、と思い声をかける。返答はどうだったか。光の話を聞いたなら、他の者と顔を見合わせるようにして。光の向かった先へと向かうことにする。辿り着いた先は、山頂へと続く扉の前]
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