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−Kirschbaum・一階−
[カランカランと、扉に備えつけられたベルは来客を知らせます。出迎えるハーヴェイは、いつもとは違っていたでしょうか。けれども、なんにも云わずにベアトリーチェの好きなオレンジのジュースを差し出します。]
こんばんわ、ハーヴェイ。「……いいえ、影輝王。」
[こどもの声は途中から、小夜啼鳥を思わせる澄んだものになりました。]
[王は若しかすると、疾うに知っていたのかもしれない。そして、彼女の主君も。人の数年は精霊にとって短き時とは言え、何も伝わらないなどという事は考え辛いのだから。そんな事を、今更になって思う。
彼女の科白に影輝王は深く嘆息し、苦い表情を浮かべて言葉を発する。]
「ええ、解っています。
謝罪により赦されぬのなら尚更の事、
犯した罪は自らの手で償うべきだと。
けれど、“私達”には時間が無いのです。」
[少女を通して語る彼女の面差しは、影を帯びていた。
幾度も力を行使したこの器の許容量はオーバーしており、少女と彼女が傷付いた事で、その存在は酷く不安定になっている。『鍵の書』の封印により受けた力が失われれば、後に待つのは――]
「影輝王、これを。」
[小さく首を振り、彼女は右の人差し指から指環を外して、カウンターの上に置く]
「天聖なる君に、返還を願います。
私は天に還る事は叶いませんから。
……この子を、輪廻の輪に戻す為に。
それが私に出来る、せめてもの事ですから。」
[微笑みを浮かべたのは、彼女だったろうか、少女だったろうか。
それを見る影輝の精霊王たる彼は、変わらず厳しい表情を浮かべていた]
[ベアトリーチェは代りにグラスを手に取り、ごくんと喉を鳴らします。柘榴石のようないろをした果実のジュースはとても甘いのに、ほんの少し苦さをも感じる気がしました。それでも、勢よくいっきに飲み終えてしまいます。]
ベアトリーチェからも、お願いがあるんだ。
これを、皆に渡して欲しい。
[そう云って置いたのは、先程のスケッチブックでした。]
……ベアトリーチェの、好きだった世界だよ。
[そこに画かれていたのは、たくさんの人たち、場所、……思い出。
ベアトリーチェの記憶の結晶とも云えるものでした。]
[――それが、神の御子とも呼ばれたこどものお話。
もし誰かが、町のひとにベアトリーチェ=ブルーメンガルデンのことを聞いたのなら、それは幼い頃に病気で没くなってしまったこどもだと答えることでしょう。そうして、天の神さまはなんと無慈悲なのだろうと云うのでしょう。
力なきものに、その記憶はもうありません。お父さんとお母さんにも、もちろんです。ただぽっかりと、理由の知れない、きみょうな穴が空いているばかり。]
─祭壇の間─
[ゆらり、と。長い漆黒の尾が揺れる]
……そう。
この祭壇の間の奥に、書を……『鍵の書のみ』を眠らせ、再び封護の結界をめぐらせる。
本来は火炎の若竜の役割だが、解放で動けぬようだから、他者が行なうのも仕方がない。
しかし、だからこそ。
同じ竜族の者が見届けなくてはならないんだ。
[言いつつ、視線が一瞬、白梟に導かれてやって来た生命の同族に向けられる]
―祭壇の間―
[厄介な竜だ、と矢張り思う。
苗床はしかしそれを口に出すことも、態度に出すこともない。]
別に見届けなくても問題はないだろ?
僕が望むのはこれの封印。
これだけ器が壊れているのに、今更鍵を開けて、何になるというのか。
[竜を見やる暗緑の森の泉の瞳。
あおはじっと、静かに、大きな時の竜を見やるばかり。]
どうしても見届けねばならぬのか?
僕はそれを君たちに望みはしないというのに。
[やってきた気配には、視線を向けもしないけれど、気づいているようで。]
そうだろうな。
君は、書の力をむしろ厭っていた。
……その消滅を願うほどに、ね。
だからこそ、扉を開きはしないと思っている。
[あおを見返す異眸もまた、静かに]
見届けねばならないさ。
俺たち竜は、律を持って生きるもの。
その律を、曲げる事はできん。
君が望む、望まないに関わらずな。
[ふぁさり、と。白い翼が動いて光の粒子をこぼす]
まったく、融通の利かないものだね、君たちは。
[ため息を一つ、吐き出して。]
なれば僕は君に願おうか。
邪魔をするなと。
封じさえすれば、少しの変化くらい、
見逃してくれないか?
[光はふわりと祭壇の間の中に広がる。
床の上に、ふわふわ、ふわり。]
『……出ておいで、種の子ら。』
[コトバで囁くと、命令に従う、二つで一つの種から生まれた、
蔦、茎、根、そして果。
すべてが苗床から、抜け出した。
集まるは果のうまれた左の掌の上。]
力在るが故にな。
[融通が利かない、という言葉に、龍は笑うような声を上げたか]
変化?
その、『変化』の内容にもよるが。
……もし、『書以外の何か』を。残すというなら、話は大分かわってくる。
[翠樹の魔の手に集まるものたち。
その様子に、異眸は険しさを帯びる]
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