35 紅月小夜曲
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薬師 ゼルギウス
その情けねー面下げて言や良いじゃん。
お前、今チャンスを自ら投げ捨てようとしてるようなもんだぞ。
待たせるのが嫌なら傍に居てくれってはっきり言って来い！
[焚き付けるような言]
[今までに見ないくらいに弱々しい様子を見せるマテウス]
[そんな様子を見るのが嫌で]
[うじうじしてるような姿が少し苛立たしくて]
[語気は徐々に強くなる]
お前さ、一緒に居たいなら捕まえろよ。
捕まえて離すな。
そんなんじゃ一生ナタと離れ離れになっちまうぞ。
それでも良いのか？
詩人 ライヒアルト
家主殿には、言われたくはないんだがな、それは。
[呆れ声に返すのは、低い呟き]
詩の方は、どうにかな……ああ、代筆してもらえると、助かる。
[代筆、という言葉に、零れるのは、安堵。
直後の瞬きには、また、苦笑が滲み]
……六年前に、共に『場』に囚われ、生き残った二人だ。
俺は、死せる事により、解放されるようだが。
あいつらは、未だ、因果の中にいる。
……別れ際に、誓ったんだ。
決して、自ら生命は断たず。
俺が、空へ飛び立つ詩を書けたなら、また、会おうと。
[それは、その場では、二人から逃げる口実。
けれど、今は。それが重い、枷のようで]
調理師 ゲルダ
―森の奥・弔いの場―
[手ごろな缶の中、枯れ木を詰めた]
[ぱちぱちと、小さくはぜる炎は死者を弔う狼煙]
[その音は集会場の暖炉の火の音にも]
[とてもよく似ていた]
調理師 ゲルダ
[狼煙]
[吐く息]
[ともに、暗闇の中、月光に反射して白い]
マテウス兄さん。
お酒も持って来たの。
寒いから、グリューヴァイン、ね。
[上がる焔でワインを温め、それをマグへと注ぐ]
[家に出る前に、兄が使っていたそれを]
[とん]
[地面の雪上へ、持参した料理とともに並べた]
調理師 ゲルダ
[自分の分のマグを掌に包む]
[ゆらゆらとワインの紅が不安定に揺れた]
[まるで]
[自らの決心を測るかのように]
――…エーリッヒ。
あのね。
調理師 ゲルダ
[睫毛を伏せるのは、相手を顔を見ずに済むように]
[自分の表情を見せずに済むように]
この弔いで、全部終わり…だよね。
だから、エーリッヒは。
――…全部忘れても良いんだよ？
[唐突にも思える言葉]
[短く告げて]
調理師 ゲルダ
[一緒に生きていたい]
[壊れて欲しくない]
[あの日願ったそれらの内、一つを選ぶなら]
このまま、人狼のこと。
覚え続けるのが辛いなら。壊れそうになるくらいなら。
これで全部終わりにして。
この村を離れて。
一人で生きていっても、良いんだよ？
[――…そちら側しか*望めない*]
指物師 エーリッヒ
あー……。
[低い返しには僅か目を逸らして。今回の件で色々突きつけられたものもあり、自覚は多少生まれている]
その位ならお安い御用だ。
[頷き、語られる話を静かに聞く]
お前が最初に『視た』時の、か。
やはり抜け出せない何かが残っている…だろうな。
[唇端が僅かに持ち上がる。
過去の師匠。今の自分。起きたことは消えてくれない。
この思いは生き続ける限りずっとついて回るだろう]
……そう。
で、空は見えたのか？
[答えはもう分かっていた。最前の話があれば。
それでも確認するように、小さく笑って先を促す]
指物師 エーリッヒ
/*
ぐはっ[吐血]
や、それに返すものは確りとあるんだけどね。ね。
それでもうん、やぱし。
[ゲルダの描写を見て、ぱたり]
傭兵 マテウス
チャンス…か…。
[つぶやいてゼルギウスの言葉を復唱する。
自分はどうしたのか自問する。
15年前に村を出たとき、なにもかもを捨てたつもりだった。
でも今は、確実に自分の中にある思いは]
いや、よくねぇ…よくねぇよな。
[グラスをテーブルにおいて]
ゼルギウス、お前はやっぱり、最高の仲間。
親友だわ。
ちょっと、いってくる残り全部やるわ。
[立ち去り際、ゼルギウスに笑いかけて]
じゃあな、ゼルギウスお前とあえてよかった。
[ゼルギウスの返答を受ければ、背を向け手を振りゼルギウスと最後の*別れを…*]
調理師 ゲルダ
/*
前半で兄さんの希望を叶えようと頑張ってみたわけですが。
結局、料理を何にするかが決まらなかった。
ハムステーキとかで良いですか。
それとも２歳児に向けて、ハンバーグカレーですか？ｗ
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