[そうして思い返すは、村を飛び出す前。
ちょうど、粗方の村に残る人狼伝承を読み解き、自分なりの解釈を持ち始めた頃のこと。
年数にして、確か7、8年前くらいの頃だったか。]
ねぇ、ユーリにぃ。この村の人狼伝承って知ってる?
……外には他にもそういう話ってあるものなの?
[そう言って見上げるのは、ここ数年夏に訪れるようになった商人親子の子の方。
歳も近く、ゲルダやベッティ、クロエといった親が商いを行なっていた幼馴染経由で話すようになっていた。
……ああ、そう言えばこの頃、まだ俺も女らしい口調だったな。]