[一呼吸の間をおいて紡ぎ出されるのは、少女のように伸びやかで澄み切った声。或る街で“歌姫”と持て囃され、それから僅か数年後に表舞台から消えた少女のそれと、まったく同じものだった。もっとも、この村の住人に聴き覚えのある者が何人居るか――そもそも今は、届く相手すら限られている][歌声の中心は未だ人の形を為しておらず、淡い光がひとつ灯るのみだった]