―昨夜・外―ゼルギウスは、イレーネ以外には言わなかったのか。[カルメンとの間に沈黙が横たわった後、ぽつりと呟く。占い師かもしれないと思ったあの時、ミハエルの名前だけでなくイレーネの名前も口にしていたはずなのに。けれどそれをミハエルにも言っていなかったとは。言えなかったのだろうか。死を視るものが、いるから]……あ。[彼女を護っていたのは正しかったらしい。けれど自分の血も失われた今、その効力は消えてしまったはず]