[それでも、唇は彼の名を紡ぐ。名を呼んでしまえば、我慢できなかった。そ、と立ち上がれば歩み寄るほどの距離もない。それでも肩に手をかけるのは、やはり躊躇われた。だから声のみで彼へ呼びかける] … アーベル、なの…?[祈るような音が、死者の唇から零れた*]