― 黒珊瑚亭/五号室 ―[呼ぶ声>>+55が聞こえて伏せていた耳がピクと動く]――……。[アーベルは同胞の手に掛かった。だから空耳だと思う。自身がこうしてある事もこうなってからゼルギウスと話した事もその時まですとんと抜けていた。一拍遅れて、耳がピンと立つ。鼻先があがり朱金の眸が瞬く]え、アーベル!?[驚いたような声があがる]