[イザベラを例の部屋に案内した後、彼女とはその場で別れた。少女は一人廊下を歩む。辺りは暗く、既に月が空に輝いていた。廊下の壁に据え付けられた燭台の炎が辺りを薄暗く照らす。その明かりだけを頼りに歩を進め、そしてピタリと足を止めた]……緋色の中の、白。[透き通るような凛とした声。少女の右目だけが滅紫へと変じた]そう、そう言うこと。私に解るのはこれだけなのね。[独り言にも似た言葉ははっきりと、辺りにも響いた]