[夜になり鋭敏になった鼻で目的の人物の居場所を嗅ぎ取る。途中、別の香しい匂いが邪魔をしたが、強い意思で振り払った。そうして、テラスの手摺りを蹴り、各部屋の窓のひさしを足場にして目的の部屋へと近付いていく]…………[かたり、と窓が開く音が小さく響き、エーリッヒは窓枠に足をかける。身を捻り窓から部屋の中へと滑り込むと、そこは化粧の匂いが漂っていた。あまり得意ではないその匂いに、僅かに顰めっ面になる]