[菓子の作り手とはすれ違った事に気付かぬまま帰る旨を伝えようとした、けれど。老尼僧から宿泊を勧められ迷うように視線を彷徨わせた。] ――…でも今夜は、仕事が[風の強さに加え雪積もる坂道を下るのは危ないと諭す尼僧の声に躊躇いながらも女は頷く。] ……ん。 じゃあ、帰るのが無理そうなら、泊まっていこう、かな。[帰る事をまだ諦めきれぬ様子ながらもそんな言葉を返した。]