[『資料』の話は、最初から名目でしかなかった。
後で先の村人と再会した時の為に、後で適当に見繕うつもりではあるけれども]
ごめんね、他に頼れる人もいないしさ。
父さんも『困った時には叔父さんに頼れ』って言ってたものだから。
[そう言えば相手が何も言えなくなることは知っていた。館を尋ねる時の大体の目的はそれだったからだ。
話はいつも他の者に聞かれないようにしていたが、甥が来る度金庫の中身が消えていることに、館の誰かは気付いているだろうか。
渋々といった態で叔父が頷けば、笑みは他に向けるような愛想の良いものに変わる]
まあ、帰り際にでもよろしく。
折角だし、今日は泊まってくつもりだから。
[機嫌良くひらと手を振って、部屋を後にした]