…表面上は、な。[漆黒の翼に少しばかり瞠目、それからは、と小さく唇が息を零す。それは、諦めにも似ていたし、けれど確かに笑みでもあった。暗い赤の滲む上に手を重ねれば、戒めるように傷口に指を立てる。抉るほどではなかったが、確かにそれは痛くて、けれどその痛みのおかげで自分の考えが少なくとも一つは纏まる]…んだよ。出し惜しみして、損した。[微かに、唇はつりあがる。それは。いや、それこそが返事だとばかりに。手は長刀を目前にかざし血に濡れた指先が刃をなぞる]