─ エーリッヒの部屋 ─[カルメンが駆け出ていくのと入れ違うようにレナーテはふらりとエーリッヒの部屋へと現れる。その足取りは幽鬼のようであり、酒にやられ思考もおぼつかない頭はその表情を虚ろに見せていた。ただ口許だけが妖艶に笑みを湛えたままで。]おや?お揃いで…皆さまおはよう……いやこんにちはかな?それとももう日が落ちた?[レナーテが部屋へと歩み入る。一歩ごとに腰に差した剣の鞘がコツンコツンと床を叩きながら。]ふふふ……