[記憶違いではなく其れは宿の主人の大事な品。
フォルカーに釣られるように宿の主人を見遣れば
その反応に微か苦笑にも似た笑みを浮かべた]
私の、命。
[自らの胸に手を触れさせる。
とくとくと一定のリズムで命の音が伝う。
少女が少年を大事に思うように
少年もまた思ってくれているようで嬉しかった]
うん、フォルと一緒なら何処に居ても楽しかった。
雨の日も、晴れの日も……
これからもずっと一緒ならいいのに、な。
[もう大人だからと一緒に居る機会を減らしてきたけれど]
私も、あの頃みたいにのんびり過ごしたい。