― 地下/武器庫 ―
[気配の主からの返事は直ぐには来なかった。足音も無かった。
固唾を呑んで、振り向いたその扉の方を目で確かめれば、そこにある人影はサーシャ>>94だと判った。
彼の面持ちの色は自分と同じように強張っているように見えて、けれどもその前髪の所為で幾らか読みにくくもあって。
緊張を解かぬまま、彼>>95の言葉に、静かに頷いてみせた。]
ええ。多分、貴方が思っている通りです。
[この場を訪れたばかりのサーシャに、それでもすぐに刃を向けなかったのは、未だ剣の感触に慣れぬ所為。
むやみやたらに刃を振るうリスクなら――ひとりきりの時なら、猶更――解っている心算だったから。
少し離れた場所から、彼が別の武器に手を伸ばすのを横目に見つつ、この場で手を出せなかった自分の無力を――そんな思考をしている自分を、思う。]