[ ヴィクトールが広間へ入れば、その場の空気はどうだったろう。
広間に紅茶の薫りは漂っており、
二階の鉄の匂いはここには届いていないだろう。
既に集まった面々に会釈し、ベルナルトが共に来ていればソファへと促し、ヴィクトールも腰を降ろす。
アレクセイがこちらを見れば視線を返し頷き、昨日はありがとうと緩く微笑みを送った。そして、]
大変なことになったね。
本当に人狼が居たとは。
……、
役場と自警団の決定は覆せない。
僕達が誰かを殺さないと決めても、
食欲を煽られた人狼が止まってくれる保証はない。
[ アレクセイが紅茶を淹れてくれれば、カップを受け取り、思いつめた表情で一口啜った。]