─ 二階・客室 ─ ……む。[フルートを丹念に手入れしていた手が止まる] 荒れる……か?[深紫を向けた先、窓の向こうには陰り始めた空のいろ] あまり雨風が強いと、まずい事になったような気がするのだが。[幼い頃に遊んでいる内に天気が荒れ、戻りそこなった記憶がふと過る] とはいえ、勝手には動けない立場でもあるしねぇ……。[呟きながらも手は止まる事なく。手の中の管楽器は美しい銀色の輝きを取り戻して、ケースへと戻された]