[力を奪ったのは。
注意をそらす為に無理をしてロランを取りこんだ仲間のため。
――それは同時に木の意志でもあるとは、考えることもない。
無理に引き寄せた力の制御は、やはりうまくいかず。
邪魔するという言葉を聞いて、苦しそうな口元に、わずかに笑みが浮かんだ。
水の多い室内、彼にとってはきついだろうと、頭の片隅で考える。
ウートラも強い炎の中は危険だろう。
木にしてみれば、餌が減るのは困るから。
本人にしてみれば、友が苦しむのも困るから。
無理やり抑えていた力が緩む。
かわりに、室内に残っていた水がざわめいた。
グレゴリーからは遠ざかるように。
ウートラは、守るように。
伸びてくる手に、微笑った]