[辛うじて、右手は銀を掴む、けれど。振るうに躊躇いが先行したのは、告げられた言葉のため]この……バカ、はっ……。[家族を知らぬ幼馴染。両親を失い、その孤独の一端には触れた、けれど。自分にはまだ、伯父と従妹がいたから、完全にそれを理解する事はできずにいて]……っ![迷いは牙を避ける暇を逃し、牙が首筋を捉える。覚えのある熱に、顔が歪んだ]……っき、しょ![それでも、このまま止まる事はできない、と。強引に引き剥がそうとしながら、抜いた銀でライヒアルトの左の肩に切りつけた]