[背の向こうで聞こえる咳の音。昨日ミハエルから聞くまで知らなかった其れは隠しきれぬのか既に何度か耳にしている。青年は厨房で紅茶を淹れる。食事を取る余裕もないかもしれない。それなら少しでも栄養を取れるように、と、ロイヤルミルクティーを用意した。ミハエル、イレーネ、ゲルダ、と其々の前にカップを置き]ゼルギウス、残さず飲めよ。[ぽつ、と呟いてゼルギウスの前に置いたのは一見他と同じ。けれど飲めば甘味を強く感じるかもしれない。咳止めと鎮痛に効果があると言われる甘草を混ぜていた]