─ 宿・一階 ─
……ふむ。
確かに、無自覚のまま、潜伏している能力が、状況で開花する、というケースは過去の記録にもあった、が。
[クロエからの返答>>169に、深緑を細めて呟く。
表情は一時、感情を全て落とした『学者』あるいは『研究者』としてのものに変わっていた。
正直な所、そうしないと、冷静な思考ができそうになかった。
示されているのが、自分にとっては恩人たる元歌姫の事だけに。
感情が思考を鈍らせるのは、避けたかったから。
とはいえ]
……に、しても、だ。
その不吉な夢が何を示しているか、というのを思うと。
俺としては、非常に複雑だ、ね……。
[感情を完全に破棄できる程達観はしていない。
いや、それが出来ていたなら、今頃は、というのもあるのだが]