―翌朝・二階個室→広間→浴室―
[自宅で寝ていたときよりも、ぐっすりと眠れたようだ。
目覚めはすっきりとしている。
ゆるく頭を振って、鞄から取り出した櫛で髪をとかす。
少し癖がついているのは仕方がないとして、鞄の中から昨日話していたナターリエへのプレゼントを取り出した。
銀の細い髪留めは、飾りが細い銀の花になっていてそこに真珠が二粒ついているだけのシンプルなものだ。
やわらかな白い紙につつんで、袋に入れて封をして]
こんなものかな。
[シンプルな袋は、少し大きい。普段はこのサイズのものを、自分では取りあつかわないから。
茶葉やらお酒やら、干し肉やら。化粧道具なんてものはもちろん自分用のほんの少ししか持っていない。
とりあえずはポケットにそっと贈り物を入れると、そっと部屋を出た。使用中の札は、かけたままにしてある]