「可愛いは可愛いが、 生憎、猫可愛がりする気持ちは解らない」[ 言いながらイズマルームは幼児に視線を落としたものの、直ぐ様に視線は遠く彼方へと転じられた。仔の腕に巻きつく黄蛇を視界に入れる暇も無い。 何を思うかを察するのは容易い。放浪癖の所為で、顔を合わせることも少ない「彼女」の事であろう。 一方、ノーラは形式的な一礼をした後、些か無遠慮に視線を注いでいた。従順なる様は、無垢なる幼児に似たところがある。]