狼じゃない。私は、狼なんかじゃない。狼だったらか弱い女の子の振りして、男の子の後ろに隠れて、全部事態がすむまで怖い怖いって震えてる。[そうして、改めて森先輩の方に視線をやった]……知るわけないじゃないですか。私、同村したことないのに。[どきん、と音がした。裏の意味を探る。 けれど、今、弱みを見せられないから。 さっくり切り捨てた。 一歩、足を踏み出す。彼らと反対方向に]……もう行きます。行かなきゃいけないところがあるから。