[そしてアベルが出て行く前に新しく来た無精髭の男が挨拶をする間もなく身上書を書き始め、さっさと部屋へと上がって行った様子を見て、慌てて握ったままくしゃくしゃになっていた紙を取り出す。]
忘れてた…書かなきゃダメなんだっけ。
[飲みかけの紅茶をテーブルの脇に置いて、皺になった紙をぐしぐしテーブルに押さえつけて伸ばす。]
[そして書かれていた項目を読む…。]
[が、読めない。]
[多分こうだろうと思い、眉を潜めうんうん唸りながら、拙い単語を埋めてゆく。]
■名前:ブリジット=クリングベイル(Brigitte=Klingbeil)
■年齢:もり
■職業:18歳
■その他:一人
[辛うじて自分の名前だけはきちんと埋められたものの、他はずれたり間違ったりしている。]