[戻ってから。息を吐いて、決心したようにダーヴィッドを同じ視線の高さで見詰めなおした。伝えられる内容と、ヘリと言う言葉には分かったと頷き。
手を伸ばして、触れるのは赤い前髪ではなく、ダーヴィッドの首筋。]
ダーヴィット。
……私は、言ったように
お前を石にするよ。
[サファイアブルーの両眼。]
私は、お前を──お前とあえてよかった。
私はお前と出逢わなければ、自滅していたかもしれない。
もっと、愚かだったかもしれない。
お前を殺した後、私は当然ヘリに乗り込むだろう。
道が見えているのだから。
[ダーヴィッドの首輪の周囲の皮膚をなぞり、それから。ダーヴィッドの両手を、ヘルムートのはだけたシャツの喉元に運んだ。──言葉の続きを、聴いて欲しい。]