― 宿 ―
[よくないこと、とフォルカーは言う>>322
その意味を理解するのに少しだけ間が空いた]
――…そうだね。
よくないこと、しなきゃ、いけない。
選ばなきゃ、いけないんだね。
[自衛団長と団員は処断と言った。
それが意味する事象は薄々分かっている。
御伽噺と同じで魂を見定める者が居ると思うなら
その力もまた村の為に使われることになるだろう、と。
少しぎこちなさを感じる少年の笑みも少女にはあたたかく感じる]
逃げようもないのは私たちも牙もつ者も同じ。
逃げられないから、牙もつ者は人を襲うのかな。
[自衛団員との一幕には気付けず
ただ窓側から離れた少年の後を追うように少女もまた窓辺を離れた]