フフ。[とーぜん、という言葉と口元の歪みに唇の弧が深まる。どこか艶めいた笑みを浮かべながらその動きを追いかけて。腕にでも当たればもっと勢いも落ちただろうか。けれど狙う暇のなかった銃撃は着弾こそすれ威力の減殺には役立たず]グッ。[背中から走る衝撃。緋色が大輪を開く。左腕からも再び吹き上がる朱。逆にこちらの勢いは完全に落ち。胸を庇うような位置に動いてきた左腕に浅く突き立った]かはっ。[膝の力が抜けてずるりと崩れてゆく。咳き込んだ口元からも細い紅線が落ちていった]